2025年02月27日 14:00 〜 14:45 10階ホール
ラドスワフ・シコルスキ・ポーランド外相 会見

会見メモ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を巡り、アメリカとロシアの間で停戦に向けた交渉が進む中、ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相が来日。“From Brussels through Warsaw to Tokyo: Security Challenges for Europe and the Indo-Pacific(ブリュッセルからワルシャワを経て東京へ: 欧州とインド太平洋の安全保障上の課題)”と題して会見した。

ポーランドは今年1月から6月末まで欧州連合(EU)の議長国を務めている。

 

司会 沢井俊光 日本記者クラブ副理事長(共同通信社)

通訳 西村好美 サイマル・インターナショナル


会見リポート

防衛費増の重要性訴え

木村 光子 (時事通信社外信部)

 ポーランドのシコルスキ外相が、ロシアによるウクライナ侵攻を巡る欧州諸国の現状やポーランドの取り組みについて会見した。早くからロシアへの警戒を強め、防衛費の増大を進めてきたことや、ロシアへのエネルギー依存から脱却したポーランドのエネルギー政策を紹介し、同盟国や友好国に対し、防衛費増額とエネルギー安全保障の重要性を訴えた。

 シコルスキ氏は、ポーランドは20年にわたって国内総生産(GDP)の2%を防衛費に充ててきたほか、液化天然ガス(LNG)基地建設などによって「ロシアとのデカップリング(分離)に備えてきた」と説明。ウクライナ侵攻によって「欧州は米国の軍事抑止力に頼りすぎていたと気が付いた。一部の国は十分な武装を怠ってきた」と指摘した。日本に対しても、防衛費の増大が望ましいとの見解を示した。

 ロシアについては、人口や軍の規模を欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)と比較し、「自信過剰」「無敵ではない」と主張した。経済的に疲弊していると分析し、米トランプ政権のロシアに対する姿勢について、「疲弊しきったロシアに、生命線と敗北の淵から勝利をつかむ機会を与えているようだ」と批判。「ロシアの指導者を信じるべきではない」と警告した。

 否定している停戦後のウクライナへの平和維持部隊派遣については、ロシアの同盟国であるベラルーシとの国境警備や領空防衛などがNATOの防衛として優先順位が高いとした上で、「領土内への他国からの派兵について決める権利はウクライナにある」と重ねた。

 平家物語を引用し、「『盛者必衰』が西側諸国の同盟に当てはまるようなことがあってはならない」と強調。冒頭発言の結びでは「欧州、米国、アジアの同盟国は今でも強く結びついていると信じている」と述べ、日本を含めた友好国、同盟国と今後も連携していく考えを示した。


ゲスト / Guest

  • ラドスワフ・シコルスキ / Radosław SIKORSKI

    ポーランド外相 / Minister of Foreign Affairs of the Republic of Poland

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