会見リポート
2024年12月17日
10:00 〜 11:00
9階会見場
ギヨーム・パンジェ仏海軍少将 会見
会見メモ
フランス海軍の原子力空母「シャルル・ドゴール」を中心とした空母打撃群が、11月28日にインド太平洋地域へ向けフランス本土のトゥーロン港を出航した。今回のミッション「クレマンソー25」では、パートナーや同盟国との相互運用性を向上させ、自由で開かれた、安定したインド太平洋地域を推進することを目的としている。
フランス海軍のギヨーム・パンジェ少将・太平洋管区統合司令官が「太平洋におけるフランス軍」と題し、フランスにおけるインド太平洋地域の重要性や「クレマンソー25」の意義や展望などについて話した。
司会 大内佐紀 日本記者クラブ企画委員(読売新聞社)
通訳 菊池歌子
会見リポート
日本との安保協力を深化
永田 潤 (共同通信社外信部次長)
「私は日本語を少し話します」。パンジェ氏は冒頭、日本語で一言あいさつし、少し学んだ経験があると自己紹介した。海軍士官として約20年前から日本側と協力を重ねてきたことにも触れ、タヒチ島に駐在する太平洋管区統合司令官として8月の就任後、初めての公式訪問先に「日本を選んだ」と強調した。
〝日本びいき〟は単なる外交辞令でもないだろう。近年、中国が海洋進出を強める中、ニューカレドニアやポリネシアなど太平洋に領土を持つフランスは、中国との対話を重視しつつも日本と安全保障協力を深めている。パンジェ氏は「両国はインド太平洋地域の戦略的課題に関するビジョンを共有し、安定維持、国際法擁護に取り組んでいる」と説明した。自衛隊とフランス軍は共同訓練を重ね、相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」の締結交渉は両国間で大詰めを迎えている。
パンジェ氏が来年の取り組みの目玉として取り上げたのは、フランスが保有する唯一の空母シャルル・ドゴールの艦隊によるミッション「クレマンソー25」だ。地中海、紅海を経て、インド洋や太平洋で日本を含む国々と共同訓練を行う。
フランスの空母打撃群が太平洋まで航行するのは1960年代以来とされ、歴史的に珍しい出来事だが、パンジェ氏は「危機はない」、緊張が高まる台湾情勢とも「関係はない」と、平静さを保った。しかし中国が絡む情勢変化がなければ行われなかっただろうと誰もが考える。
艦隊の一部は2~3月に日本に寄港する。空母自体の寄港について尋ねると「日本側と検討したが、日程上制約があり、果たすべき課題を踏まえ採用されなかった」と、詳細には触れずに答えた。原子力艦の寄港手続きの複雑さが背景にあるとみられる。原子力艦が頻繁に寄港している米軍以外への対応は日本で今後も検討課題となるだろう。
ゲスト / Guest
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ギヨーム・パンジェ / Guillaume Pinget
フランス海軍少将 / FR PACOM / 仏太平洋管区司令官 / Rear admiral, FR PACOM,Commander French Pacific Command