会見リポート
2024年12月18日
12:30 〜 13:30
10階ホール
ムハンマド・シュタイエ・パレスチナ自治政府前首相 会見
会見メモ
パレスチナ自治政府で2019年3月から今年2月まで首相を務めたムハンマド・シュタイエさんが登壇した。
イスラエルとイスラム組織ハマスとの停戦協議について「1時間でいうなら最後の15分のところ。土壇場までようやく来ている」とし、「カタール、エジプト、アメリカと協力しながらこのディールが成立するよう努力している」と説明。
政治的な解決がなければ「同じことが繰り返される」とし「国連の決議にのっとった国際会議の場で決着をつける必要がある」との見解を示した。
日本に対しては、二国家解決策でなければならないという認識に立つなら「パレスチナを国家として承認してほしい。二国家解決策が維持され、守られることを祈ってる」とした。
質疑応答では、停戦後のガザ地区の統治の在り方、国連の役割や米国の次期政権に求めることなどについて質問が相次いだ。
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
通訳 西村好美 (サイマル・インターナショナル)
会見リポート
パレスチナ問題「国際会議で決着を」
国本 愛 (毎日新聞社外信部)
パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が続く中、パレスチナ自治政府のシュタイエ前首相が18日、会見を開いた。「殺りくを終わらせ、話し合いで解決したい」と繰り返し述べ、日本を含む国際社会の協力を求めた。
シュタイエ氏は2019年から24年3月まで首相を務めた。現在の中東情勢を、「まるで動く砂のまっただ中に立っているように非常に不安定だ」と表現。ガザでの戦闘を機に各地に戦火が広がり、シリアのアサド政権崩壊といった「新しい現実をも生み出している」と指摘した。
ガザの犠牲者は現在、女性や子供を中心に4万5000人以上に上る。シュタイエ氏は、10万人以上の負傷者の多くも病院が破壊されて手当てを受けられず、食料の搬入制限による飢餓も広がり、犠牲者の数はさらに増えていると訴えた。
一方、停戦交渉は「1時間で言えば、残り15分まできている」と述べ、近くハマスが捉えた人質と拘束されているパレスチナ人との交換交渉が進み、人道支援の段階に入るとの見解を示した。
ただ、ガザの惨状だけでなく、イスラエルはパレスチナ自治区ヨルダン川西岸や東エルサレムでも国際法違反とされる占領を続け、ガザの戦闘以降は、入植者によるパレスチナ人への暴力も増加している。シュタイエ氏は「政治的解決策なしには同じ事が繰り返し起こる」と述べ、国際会議の場での、パレスチナ問題の根本的解決の必要性も訴えた。
質疑では、米国が国連安保理で拒否権を繰り返すなど、国連の機能不全に関する質問も出た。「率直に言って今の国連に平和を作る力はない。国連はニューヨークのビルではなく、メンバーが何をしたかだ」とシュタイエ氏も失望をあらわにした。その上で、「国連も国際法もなくてはならず、平和や正義を守る本来の目的に戻ってほしい」と語った。
ゲスト / Guest
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ムハンマド・シュタイエ / Mohammad Shtayyeh
パレスチナ自治政府前首相 / Former Prime Minister of Palestine