会見リポート
2024年09月17日
13:30 〜 14:30
10階ホール
劉鏡清・台湾国家発展委員会委員長 会見
会見メモ
台湾で5月に発足した頼清徳政権で国家発展委員会委員長に就任した劉鏡清氏が来日し、会見に臨んだ。
国家発展委員会は、日本における内閣官房のような位置づけで経済安全保障、スタートアップ育成、AI・半導体戦略など、台湾の成長戦略を担う中枢機関。
経済安全保障の考え方や対日半導体戦略、グローバルサプライチェーンにおける台湾の位置づけなどについて話すとともに、半導体の素材・設備などの分野で強い技術力をもつ日本と、製造・サプライチェーンで強みをもつ台湾が相互に補完することで、半導体市場の伸張を図りたいと期待を示した。
司会 高橋哲史 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)
通訳 陳羚 サイマル・インターナショナル
会見リポート
日台で半導体「天下とろう」
佐藤 真人 (テレビ東京報道局取材センター)
台湾のいわば「成長戦略担当大臣」である劉鏡清氏の会見は、まさに台湾の「セールスマン」としての姿を見せていた。
劉氏は、台中関係が不安定化したことで、大陸から台湾に戻った資本の額が2・3兆台湾㌦(約10兆円)に上ったと明らかにした。台湾企業は中国大陸でビジネスを行って莫大な利益を上げるという「ウィン=ウィン」の関係であったはずが、それはもはや見る影もないということだ。
その台湾企業の新しい活路を切り開こうと先頭に立っているのがほかでもない劉氏である。劉氏はこの来日で台湾市場と日本市場を「連結」することが目的だと述べ、そしてその市場をますます大きいものにしていくと抱負を述べたのだ。特に半導体産業では、素材・製造装置に強みを持つ日本と、先端半導体を担う台湾とは「相互補完」的であるとし、台湾からサプライチェーンが日本にどんどん移転するよう「奨励している」とさえ述べた。さらにアメリカの半導体大手エヌビディアが台湾に拠点を設ける計画を紹介し、逆に台湾への投資を呼びかけていた。
会場からは「日本も先端半導体に取り組んでいる。将来競合することはないか」との問いかけもあった。それに対し劉氏は「遠い将来、競争関係になるかは今はわからない」とかわし、それよりも「日本と台湾が協力して半導体分野で天下をとっていこう」と呼びかけた。半導体産業はすさまじく大きな市場であり、日台双方が十分に取り組める「空間」があると強調したのだ。
会見が終わって最後に記者と名刺交換をする際、一人一人に「台湾に来る際には私にぜひ連絡をしてほしい」と笑顔で呼びかける劉氏。その笑顔に、巨大な中国と向き合い、生存をかける台湾のしたたかさと必死さを感じた。
ゲスト / Guest
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劉鏡清
台湾国家発展委員会委員長