2024年09月12日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「ウクライナと東アジアの安全保障」フィリップ・シェトラー・ジョーンズ英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)ロンドン本部インド太平洋プログラム担当部長、秋元千明・同日本特別代表、特別栄誉フェロー

会見メモ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から2年半がたった。ロシアは北朝鮮から大量の軍需物質を輸入する代わりに北朝鮮に安全保障を提供する協定を締結。中国はロシアの影響力が衰えた中央アジアとの関係強化に動いている。

ウクライナの戦況と軍事侵攻が日本周辺の安全保障環境にどのような影響を与えているのかなどについて、外交防衛のシンクタンク、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のフィリップ・シェトラー・ジョーンズ・ロンドン本部インド太平洋プログラム担当部長(写真右)と秋元千明・日本特別代表・特別栄誉フェローが話した。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信社)


会見リポート

東アジア、安保環境変化で新潮流

大野 正美 (元朝日新聞モスクワ支局長)

 英国王⽴防衛安全保障研究所(RUSI)のインド太平洋地域専⾨家シェトラー・ジョーンズ⽒が、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて東アジア地域の安全保障環境に起きている変化と、この新潮流に⽇本はじめ地域の国々が⽶国や欧州諸国と協⼒してどう対応していくべきかについて語った。

 ⽒によると、ウクライナ侵攻をめぐって北朝鮮やイランがロシアに武器を売ることで、経済制裁を受けるロシアの負担の軽減が図られており、中国がこれに加わる可能性もある。こうした連携はロシアがハブとなり、中国、北朝鮮、イランがスポークとして囲む形をとってロシアに代理として⽶欧との争いを続けさせている。また、ロシア、中国、北朝鮮はアジア太平洋と欧州を⼀体的にとらえ、アジア太平洋への北⼤⻄洋条約機構(NATO)の参⼊を拒もうと努めている。

 ⼀⽅で、東アジア地域でも安全保障環境の変化から欧州・⼤⻄洋地域と結ぶ新しい戦略的な動きが⽣まれている。NATOのアジア太平洋パートナー(AP4)である⽇本、豪州、ニュージーランド及び韓国との協⼒関係の進展はその例証だ。⽇本、英国、イタリア3国によるジェット戦闘機開発や、英国、⽶国、豪州3国の軍事同盟AUKUSによる豪州への原⼦⼒潜⽔艦供与合意など様々な協⼒プログラムが現れつつあるなか、「東アジア地域でさらにNATOなどとの協⼒関係構築を進めるのに、⽇本はリーダーシップをとれる」と⽒は強調した。

 会⾒にはRUSIの秋元千明・⽇本特別代表も同席し、ウクライナ侵攻の今後について「ロシア軍の損耗が激しい。⻄側諸国が現在の⽔準でウクライナへの軍事⽀援を続け、ロシアに軍事⽀援をする国が北朝鮮とイランに限定されていれば、ロシア軍の攻撃的な戦闘能⼒はあと12か⽉から18か⽉で限界に達する」との⾒通しを⽰した。


ゲスト / Guest

  • フィリップ・シェトラー・ジョーンズ / Philip Shetler-Jones

    英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)

    英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)ロンドン本部インド太平洋プログラム担当部長

  • 秋元千明 / Chiaki AKIMOTO

    英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)

    英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)日本特別代表、特別栄誉フェロー

研究テーマ:ウクライナ

研究会回数:26

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