2024年06月14日 14:45 〜 16:15 10階ホール
「ハマス・イスラエル衝突」(7) ジャーナリスト・映画監督 土井敏邦さん

会見メモ

30年にわたりパレスチナ・ガザ地区で取材を続けてきたジャーナリストで映画監督の土井敏邦さんが、集大成となる映画「ガザからの報告」を完成させた。

映画の短縮版を上映したのち、土井さんが昨年10月以来の戦闘がガザ地区の人々の暮らしや意識をどう変えたのか、ガザ住民の窮状や心情、ハマスに対する感情など、現地の人々の現状を語った。

 

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

ガザ市民と同じ目線で

立田 成美 (共同通信社外信部)

 イスラエルとパレスチナを34年にわたって取材してきたジャーナリスト土井敏邦さん。新作のドキュメンタリー映画「ガザからの報告」には、市井の人々と寝起きを共にし、常に同じ目線に立ってきた土井さんだからこそ聞くことができた、ガザ住民の本音が収められている。「ガザを実効支配するハマスと民衆は一体ではない。ハマスに対する民衆の怒りが伝えられないのが歯がゆい」。会見に臨んだ土井さんはそう言って、戦闘が続く現地の状況を憂いた。

 会場では3時間25分に及ぶ映画を30分程度に編集した短縮版が上映された。前半部はガザ北部のジャバリヤ難民キャンプで暮らすエルアクラ一家の25年の記録だ。1993年のオスロ合意を受けて家族は平和の訪れに期待を寄せるが、自治政府の腐敗、自治政府に代わって台頭したハマスの強権支配、終わらないイスラエルによる包囲を前に希望を失っていく。

 後半部は、昨年10月のガザ戦闘開始以降に土井さんが受け取った、現地のジャーナリストMからの動画による報告になる。極限状態の中、遺体から金銭や靴を盗む人々、精神を病む子どもたち―。Mは動画の中で「人々は汚い言葉でシンワール(ガザのハマストップ)を罵っている」と声を荒げ、土井さんに住民の怒りを伝えた。

 ガザでは戦闘開始後、3万7千人以上が亡くなった。死者は毎日増えており、メディアも連日その数を報じている。しかし匿名化された数字は、時として実感を伴わないただのデータとして消化されてしまう。土井さんは「ガザ住民を数字にすると人の顔が見えない。彼らの思いを、同じ人間なのだということを伝えていかないといけない」と会見で何度も指摘した。東京から国際報道に触れていると、マスな視点に偏りがちな時がある。まずは人ありき。自らの居住まいを正した会見だった。


ゲスト / Guest

  • 土井敏邦 / Toshikuni DOI

    ジャーナリスト・映画監督

研究テーマ:ハマス・イスラエル衝突

研究会回数:7

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