2024年06月10日 16:30 〜 17:30 10階ホール
日本学術会議 歴代会長 会見

会見メモ

日本学術会議の歴代会長が、岸田文雄首相に対して日本学術会議の独立性および自主性の尊重と擁護を求める声明をまとめた。吉川弘之、黒川清、広渡清吾、大西隆、山極壽一、梶田隆章の6氏連名。

吉川さんを除く5氏(うち山極さんはリモート)が登壇し、政府主導による見直しをやめるよう求めた。

欠席の吉川さんは書面でコメントを寄せた。

日本学術会議の在り方を巡り、歴代会長が声明を出すのは昨年2月に続き2回目。今回は新たに梶田さんが加わった。

政府は昨年末に学術会議を現在の国の機関から独立した法人に変える方向性を打ち出し、作業部会の下で法整備に向けた検討を進めている。

 

司会 永山悦子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞社)

 

■配布資料

「再び、岸田文雄首相に対して日本学術会議の独立性および自主性の尊重と擁護を求める声明」

 日本学術会議会長経験者6名の声明発表記者会見に際してのメッセージ(吉川弘之 第17期、18期会長)

 

 

写真左から順に

・黒川清 第19、20期会長

・広渡清吾 第21期会長

・大西隆 第22、23期会長

・梶田隆章 第25期会長

・山極壽一 第24期会長 ※リモート


会見リポート

「法人化」独立性確保に疑念

滝 順一 (日本経済新聞社編集委員)

 日本学術会議の歴代(2005年以降)会長6人が「再び、岸田文雄首相に対して日本学術会議の独立性および自主性の尊重と擁護を求める声明」を発表し、黒川清、広渡清吾、大西隆、山極壽一、梶田隆章の5氏(吉川弘之氏は欠席)がそろって記者会見に臨んだ。

 声明文に「再び」とあるよう歴代会長が日本学術会議法見直しで首相に再考を求めるのは2023年2月以来2度目だ。(前回は当時現職会長の梶田氏は参加していない)

 声明の狙いは、広渡氏が端的に発言した通り「(政府主導の)議論を止める」ことにある。発端は20年10月の菅義偉首相(当時)による6人の会員候補の任命拒否。政府は任命拒否の理由を明らかにしないまま、学術会議のあり方に議論の焦点をずらし、22年12月に学術会議法の見直し方針を示した。23年4月に法案提出をいったん撤回したものの、8月に設けた有識者懇談会で「あり方」を俎上に載せ、今は懇談会傘下のワーキンググループで「政府から独立した法人化」を前提とする議論が進む。

 歴代会長の懸念は、「独立性確保のための法人化」とされてはいるが、その実、学術会議の運営や会員選考に外部からの関与が広く導入される点にある。「税金を投入するからにはガバナンスが重要」は一般には正当と言えるが、学術会議は国立の研究開発法人や大学とは成り立ちも機能もまったく異なる。学術会議は人文社会・自然科学の学者の総意で生まれ、学術の立場から政府に耳の痛い助言・勧告を行う機能を与えられている。そうした学術のありようが長期的には国民・国家にとり望ましいとの考え方が根本にある。

 声明は「アカデミーの自治に対する国家的干渉」が海外でも顕在化していることを指摘、学術会議法人化でその「社会的役割が損なわれ変質をもたらす危惧が極めて大きい」と警鐘を鳴らしている。


ゲスト / Guest

  • 黒川清

    日本学術会議第19、20期会長

  • 広渡清吾

    日本学術会議第21期会長

  • 大西隆 

    日本学術会議第22、23期会長

  • 山極壽一

    日本学術会議第24期会長

  • 梶田隆章

    日本学術会議第25期会長

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