2024年07月05日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「中国で何が起きているのか」(15) 中尾武彦・みずほリサーチ&テクノロジーズ理事長

会見メモ

中国経済が低迷している根本的な原因は、需要不足にあるとの見方が多い。しかし、習近平政権は供給サイドの改革ばかりに力を入れているようにみえる。本格的な財政出動に動かないのはなぜか。

中国共産党の中央委員会第3回全体会議(3中全会)を前に、財務省の元財務官で中国の金融当局者と長く交流してきた中尾武彦・みずほリサーチ&テクノロジーズ理事長が「中国経済の現状-中国は『日本化』するのか」と題し話した。

 

司会 高橋哲史 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)


会見リポート

「21世紀はアジアの世紀」、今も変わらず

八牧 浩行 (時事通信出身)

 アジア開発銀行(ADB)総裁として7年あまり務めた豊富な体験と知見を基に、多岐にわたる実態分析と対応策を披露した。

 ADB2期目に入った8年前に、域内を頻繁に巡って得た情報により「21世紀はアジアの世紀」になるとの見解を示したが、今でも基本的にこの見通しに変わりはないと明言。経済に大きく影響する人口がインド、中国はじめアジアは既に世界の半分を占め、成長率も他の地域に比べ高いため、2050年には世界のGDPシェアの5割に達するという。中国に続きインドをはじめインドネシア、パキスタン、バングラデシュ、マレーシア、フィリピン、ベトナムなども他の地域に比べ高成長が続く―。日本だけが突出し他の諸国が劣後していた30年ほど前から一変した。

 ただ、アジア諸国はソフトパワーに欠けるため「アジアの世紀になると偉そうに言うことはできない」と戒め、15世紀以降にギリシャ・ローマ・キリスト教を基に世界の文化・規範を牽引した欧州には及ばないと強調した。

 主テーマの「中国経済は日本化するか」については日本経済と比較して解明。日本のバブル崩壊前の「類似点」として永久に価格が上昇するとの不動産神話と活発な金融活動、巨大な資産効果、将来への期待などを列挙。中国経済の弱点となる「相違点」は所得が今の中国の方が平均的に低く格差が大きいことや税制、年金等の再配分機能が不十分なことを指摘した。鄧小平から胡錦濤体制まで経済は市場に委ねていたが、習体制になって政府の規制が強化され経済が委縮するリスクがあるという。

 一方、中国経済の強みとなる「相違点」として、「依然発展途上であり成長余地が大きい」と強調。研究者の絶対数が膨大で、R&Dへの投資増や、自由なデータ活用によりAI(人工知能)、EV(電気自動車)など明るい分野が拡大。シリコンバレーに行って起業して帰国する中国人が多く伸びしろがあると予想した。


ゲスト / Guest

  • 中尾武彦 / Takehiko Naka

    みずほリサーチ&テクノロジーズ理事長 / Chairman of the Institute at Mizuho Research and Technologies, Ltd

研究テーマ:中国で何が起きているのか

研究会回数:15

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