会見リポート
2024年05月24日
12:30 〜 14:00
10階ホール
「<政治とカネ>を問う」(10) 若狭勝弁護士
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会見リポート
「政活費」公開、現行法でも可能
高橋 正光 (時事通信社解説委員長)
東京地検特捜部副部長として日歯連事件を捜査し、退官後には衆院議員を約3年間経験。「政治とカネ」の問題で、捜査する側とされる側双方の内情を知る法律家として、政党から議員個人に支給され、使途を公開する必要がない「政策活動費」(政活費)を中心に現状を解説した。
政治資金規正法で、政活費を規定しているのが「19条の3」。廃止や全面公開を求める野党、わずかな公開にとどめたい自民党。会見時点では、双方の主張の開きは大きかったが、この規定を適用することで、実は「相当公開される」という。というのは、19条の3は、政党から政活費を支給(寄付)された政治家が、これを自身の資金管理団体で取り扱うための手続きを定めており、資金管理団体に入れれば、「5万円超の寄付者氏名」、人件費を除く「5万円以上の支出先」などを政治資金収支報告書に記載する義務が生じる。
若狭氏は、岸田文雄首相(自民党総裁)が政活費の支給を受ける党幹部らに「資金管理団体に入れるように」と指示するだけで、透明性が相当高まると解説した。同時に、岸田首相はこのことを知っているから、指示を出さないとの見方を示した。
一方、政治家を処罰しやすくするため、政治家が収支報告書の内容を確認したことを認める「確認書」を収支報告書と合わせて提出する自民党案について、元検事の立場から分析。追及の「決定打にはならない」と断じ、「『気が付かなかった』と言われたら処罰できない」と問題点を説明した。
むしろ、規正法違反罪(虚偽記載)の時効を5年から7年に延長するだけで「捜査の幅が広がる」と強調。有価証券報告書の虚偽記載罪を例に「5年はおかしい。少なくとも7年にすべきだ」と訴えた。
この他、特捜部に在籍した経験から、安倍派などの裏金事件で押収した資料を「宝の山」に見立て、各議員のカネの流れをつかんでいると分析。「これから切り込んでいくと、今でも思う」と述べ、古巣の後輩の奮起を促した。読解が難しい法律を分りやすく解説するのが若狭氏の持ち味。「裏金事件は終わっていない」。期待半分でそういう思いも強くした。
ゲスト / Guest
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若狭勝 / Masaru WAKASA
弁護士法人わかさ代表弁護士 / Representative Lawyer, Legal Professional Corporation Wakasa
研究テーマ:<政治とカネ>を問う」
研究会回数:10