会見リポート
2024年05月13日
13:30 〜 15:00
10階ホール
「<政治とカネ>を問う」(8) 加藤秀樹・構想日本代表
会見メモ
民間の立場から政策を立案・提言し、実現に向けた取り組みを進める非営利シンクタンク、構想日本の加藤秀樹代表が登壇。政治とカネの問題が繰り返される背景と問題解決に向けた政党ガバナンスのあり方などについて話した。
司会 川戸惠子 日本記者クラブ企画委員(TBS)
会見リポート
「政党法」制定でガバナンスルールの徹底を
加藤 裕則 (朝日新聞社経済部)
「政治家が自分でまな板のコイになることは絶対にない。所管官庁の総務省も1ミリも動かない。民間から声を出してちゃんとやれと言わないと絶対に変わらない」
元大蔵官僚で、日本の政界や官僚制度を知り尽くしたシンクタンクの代表は会見をこんな言葉で始め、自民党の裏金事件をきっかけに始まった政治資金規正法改正案の動きについて、マスコミなど民間や社会がリードすべきだと訴えた。
根本的な解決策として、「政党法」の制定を求めた。この政党法で、意思決定プロセスや役員の権限や責任などの明確化といったガバナンスルールの徹底を求めた。「企業の上場制度では、公益性が高ければ高いほどガバナンスルールが厳しい。国のガバナンスを担うべき政党にガバナンスがないというのはブラックジョークのような話だ」
構想日本は「『実現』する政策シンクタンク」を標榜する。提言も具体的だった。
まず、資金を管理する団体を1本化することを挙げた。「政治家は政治団体をいくつでも持つことができる。政党支部も実質的に個人の政治団体になっている。そしてこれらの間の資金の移動はほぼ自由」という現状があるためだ。
さらに、収支報告書をネットでデータとして全面公開することを訴えた。
注目すべきは、収支報告だけでなく、資産などを計上する貸借対照表(バランスシート=BS)の作成を求めたことだ。企業には当たり前の決算だが、政治資金には求められていない。たまったお金などを示すBSがないと不正がしやすいとされる。
さらに、会計士や税理士らによる外部監査を徹底し、支出目的の是非にまで踏み込んだチェックを訴えた。いまの監査制度はあくまで外形的、定型的な手続きで、形骸化の声もある。さらに、死去した安倍晋三元首相のケースを念頭に資金管理団体の相続の禁止も提言した。
経済記者として傍聴し、非常に納得のいく会見だった。
ゲスト / Guest
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加藤秀樹 / Hideki KATO
構想日本代表 / President, KOSO NIPPON
研究テーマ:<政治とカネ>を問う
研究会回数:8