2024年06月20日 16:00 〜 17:00 10階ホール
魚谷雅彦・経団連ダイバーシティ推進委員会委員長 会見

会見メモ

日本経済団体連合会は6月10日、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を公表した。

経団連ダイバーシティ推進委員会の委員長を務める魚谷雅彦・資生堂会長が「選択肢のある社会の実現を目指して ~ 女性活躍に対する制度の壁を乗り越える~」と題し、提言に至った背景や提言の概要について話した。

 

司会 佐藤千矢子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞社)


会見リポート

選択的別姓「先送りできぬ」

岡林 佐和 (朝日新聞社経済部)

 「なぜ、今なのか?」。経団連が選択的夫婦別姓の導入を求めた提言をめぐり、記者からこう質問が飛んだ。ダイバーシティ推進委員長を務める魚谷雅彦・資生堂会長は「これ以上、先送りできない。強い危機感があった」と明かした。

 かつて、政府が進める旧姓使用の拡大で足りるという立場だった経団連は、明らかに変わった。魚谷氏によると、経団連は2015年に女性役員のネットワークを設立。数十人からスタートし、いまでは300人弱のメンバーがいる。ネットワークの活動を通じ、男性経営者が女性の役員や幹部候補らと対話する機会が増え、海外出張の際にパスポートの姓と一致せずホテルに宿泊できないといった旧姓使用の弊害を認識するようになった。共感し、「自分の使命としてやり遂げる」という男性経営者もでてきたという。

 そのうえで、選択的夫婦別姓の導入を盛り込んだ1996年の法制審議会の答申から30年がたとうとしていることを挙げ「これ以上先送りできない。いま進めなければいけないと、強い危機感のもとに提言をした」と語った。提言をまとめるプロセスで、経団連内に「反対意見はまったくなかった」という。

 世界経済フォーラムによるジェンダー格差報告書で日本が118位と低迷している現状を踏まえ、「ジェンダーの問題に本当に取り組まないと、世界の中で競争力が弱体化していくという危機感が、企業経営者の中で共通認識になってきている」とも述べた。

 慎重派の「家族の一体感が失われる」との懸念については「(別姓の海外で)家族の絆が弱くなったことは特にないと聞いている」と指摘。「同姓か別姓かではなく、強制か選択かの問題だ。選択ができるようにすることが重要だ」と述べ、政府にスピード感を持った対応を求めた。


ゲスト / Guest

  • 魚谷雅彦 / Masahiko UOTANI

    日本経済団体連合会ダイバーシティ推進委員会委員長、資生堂会長

前へ 2024年07月 次へ
30
1
2
3
4
6
7
11
12
13
14
15
16
18
20
21
26
27
28
30
1
2
3
ページのTOPへ