2024年06月03日 16:30 〜 17:30 10階ホール
チャールズ・オッペンハイマーさん(「原爆の父」オッペンハイマー博士の孫)会見

会見メモ

第2次世界大戦中の米国で原爆開発を率いた理論物理学者のロバート・オッペンハイマーさんの孫、チャールズ・オッペンハイマーさんが登壇し、核兵器や核の平和利用などについて話した。

オッペンハイマーさんは6月1日に広島市を初めて訪問し、複数の被爆者と面会している。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信社)

通訳 大野理恵 サイマル・インターナショナル


会見リポート

核の緊張緩和 日本提唱を

田井中 雅人 (朝日新聞大阪本社社会部)

 米国の原爆開発「マンハッタン計画」を指揮し、「原爆の父」と呼ばれた理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマー博士(1904~67)の孫として、祖父が生前訪れなかった被爆地・広島を初訪問し、被爆者らと面会した。

 祖父ロバート氏を描いた映画「オッペンハイマー」は米アカデミー賞7冠を獲得するなど、世界で大ヒットしたが、広島・長崎が描かれていないとの批判もある。会見で「映画制作についてはあくまでも(クリストファー・ノーラン)監督の選択と視点によるものであって、私自身が映画の描き方について関与できるものではなかった」とし、「(原爆開発の拠点)ロスアラモスと、そこにいた人たちの視点を通して描こうとした映画だと思っている。だから、広島・長崎の描写がなかったのではないか」と話した。

 祖父は1960年に知的交流委員会の招きで訪日したが、日本の友人らの忠告を受けて、被爆地の広島・長崎には行かなかったという。

 広島訪問の印象や、大きな犠牲を出した原爆使用についての見解を問われたチャールズ氏は、「核兵器に限らず、あらゆる兵器が非道徳的だと思う。人類はあらゆる兵器を使うべきではない」と強調。「祖父は戦後、核兵器の国際管理によって軍拡競争を阻止しようとした。広島でお会いした被爆者らも、軍拡競争に突き進んだトルーマン大統領と祖父とを明確に区別してくれた」と語った。

 さらに、祖父が残した教訓について、「人類存続の危機に対処するために団結しなくてはならない。軍拡競争をしなければ、いまのような危機的状況にはならなかった。今こそロバート・オッペンハイマーの声を聞く時だ」と明言。「特に緊張が高まっている核大国の米国、ロシア、中国の緊張緩和を図らなければならない。それは、日本が提唱するのが一番良い」と訴えた。


ゲスト / Guest

  • チャールズ・オッペンハイマー / Charles Oppenheimer

  • フランク・ヒロシ・リン / Frank Hiroshi Ling

    アンソロポシーン研究所主席研究員 / Chief Scientist, Anthropocene Institute

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