2024年02月13日 13:00 〜 14:30 9階会見場
「<政治とカネ>を問う」(4) 北川正恭・早稲田大学名誉教授

会見メモ

元三重県知事で早稲田大学名誉教授の北川正恭さんが、自身の体験も踏まえ「平成の政治改革」を振り返るとともに、現在の課題、どのような改革が必要なのかについて私見を述べた。

 

司会 小栗泉 日本記者クラブ企画委員(日本テレビ)

 


会見リポート

情報公開は必然 絶えず改革を

池内 新太郎 (日本経済新聞社編集委員)

 平成の政治改革から折しも30年の節目で表面化した自民党派閥の政治資金問題。当時、改革派の一人として奮闘した元議員の目に、いまの状況はどう映るのか。北川氏は自民党の若手に決起を促しつつ、「国民の声がもっと大きくなってこないと変わらない。これからが本番だ」と述べ、経済界や労働界などを含めた改革論議の広がりに期待を示した。

 「改革派vs守旧派」という激しい政策論争が民間にも波及した「改革熱」を経験した北川氏からすると、現状はまだまだ生ぬるく感じられるのだろう。たしかに永田町の外からも突き上げなければ、議員の危機感は高まらない。

 平成の政治改革は政権交代可能な二大政党制やカネのかからない政治への転換をめざして、衆院に小選挙区比例代表並立制を導入し、政党交付金を創設した。しかし、いったんは実現した政権交代は自民1強に逆戻りし、政治資金制度も抜け穴だらけの状態が続いている。

 では、政治改革は失敗だったのか。北川氏は当時の合意が「妥協の産物」だった面は認めつつ「あくまで一里塚だ」として、さらなる改革の必要性を訴えた。

 衆院議員から三重県知事に転身した際、カラ出張などによる県職員の裏金問題の対応に追われた。こうした不祥事を「必要悪」とする声すらあった時代だが、その後の「パラダイムシフト」で、いまでは「地方議会の政務活動費の方が情報開示はずっと進んでいる」と力説。デジタルトランスフォーメーション(DX)から取り残されたかのような永田町の姿に「情報公開は必然だ」として、国民の知る権利に応える透明化を訴える。

 制度に完成はなく、世の中の変化に応じた改革は避けて通れない。民主主義は不完全であることを前提に「絶えずメンテナンスしていかなければならない」と結んだ。


ゲスト / Guest

  • 北川正恭 / Masayasu KITAGAWA

    早稲田大学名誉教授、早稲田大学マニフェスト研究所顧問 / professor emeritus, Waseda University

研究テーマ:<政治とカネ>を問う

研究会回数:4

ページのTOPへ