2024年01月16日 14:00 〜 15:30 会見場
「大学どこへ」(4) 高橋裕子・津田塾大学学長

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会見リポート

「共学」の意味再考を

中丸 亮夫 (日本経済新聞社編集委員)

 高等教育は共学が当たり前になったといわれるが、真の共学は達成されているかだろうか? 会見はそんな問いかけから始まった。

 男女が共に学問や知の生産に取り組んでいるか。答えはノーだ。大学の構成員の男女比を段階別に見ると学部では54:46だが修士で68:32、教授で81:19と差が開き、学長では86:14にもなる。教室はほぼ男女半々でも研究室や教授会、学長会議は男社会なのだ。「『共』という言葉の意味を共に考えていく必要がある」との指摘にうなずいた。

 二つの提言が印象に残った。一つは大学も企業も意思決定する立場の女性を増やすこと。先述のように女性学長は全体の14%(113人)しかいない。大規模総合大学ではゼロだ。

 もう一つは「見た目」を変えること。式典でテープカットの参加者が全員男性なら「しないほうがいい」と高橋氏。多様性と包摂性への認識の欠如をさらし、現状を肯定する誤ったメッセージを出してしまうからだ。

 女子大の存在意義もそこにある。常に女性が中心に置かれる空間で、伸び伸びと学び成長できる。「そうした機会は生涯二度とない」。社会のガラスの天井を破ろうというマインドも育つ。

 急速な少子化もあり女子大は逆風の中にある。しかし「女子大も進化している」と高橋氏は強調する。確かに、大学はどこも旧態依然ではいられない。女子大も共学大学も、進化を怠れば淘汰を免れないだろう。


ゲスト / Guest

  • 髙橋裕子 / Yuko TAKAHASHI

    津田塾大学学長 / President of Tsuda University

研究テーマ:大学どこへ

研究会回数:4

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