2024年01月30日 13:30 〜 15:00 9階会見場
「大学どこへ」(6) 杉山直・名古屋大学総長

申し込み締め切り

 ウェブ参加:締め切りました
 会場参加:締め切りました


会見リポート

「自由闊達」脅かす環境変化

鈴木 凜平 (中日新聞社社会部)

 国内最後の帝国大学として1939年に創立した名古屋大。ノーベル賞受賞者6人を輩出し、「自由闊達(かったつ)」な学風で知られるが、大学を取り巻く環境の変化にさらされていることを強調した。

 名大の2022年度の年間収入は、約1290億円。ものづくり産業が盛んな東海地方をはじめとする企業との産学連携を積極的に進め、04年度の1.6倍の規模に発展した。

 ただ「苦しい」と訴える項目がある。大学運営の要である教職員の人件費などに充てられる、国からの運営費交付金だ。例えるなら「パンやごはん」、つまり主食が減り続け、18年間で13%減少したという。

 その結果、任期のない「承継教員」は04年度に約1900人いたが、12%減って1600人余りに。産学連携などで得た収入は、次の年も獲得できるか不透明な「水物」で使いづらく、少子化も追い打ちを掛ける。「小さな大学は本当に厳しい。縮小傾向が続くと、大学に未来はない」と言い切った。

 旧帝大といえども安泰と言えない時代で、名大はどうあるべきか。大きく2つの方向性を示した。

 1つは、世界有数の研究大学を目指すこと。名大は年間数百億円の助成が受けられる国の「国際卓越研究大学」に応募し、昨年落選。次回応募するかどうかを問わず、新設する研究施設「リュケイオン棟」で国内外の若手研究者らを集めて育成するなど、研究力の底上げを図る。

 もうひとつは、東海地方の中核としての大学の使命を果たすこと。名大は20年、岐阜大と運営法人を統合し、東海国立大学機構を発足させた。今年1月には機構が東海地方にある8つの全国立大に呼びかけ、連携組織「C-FRONT」ができ、資金獲得などで協力を進める。名大は「長男」のような存在として、機構とともに「東海地方全体を発展させ、主要な役割を果たす」とした。


ゲスト / Guest

  • 杉山直 / Naoshi SUGIYAMA

    名古屋大学総長 / President, Nagoya University

研究テーマ:大学どこへ

研究会回数:6

ページのTOPへ