2023年05月29日 15:00 〜 16:00 10階ホール
「エスコンフィールドが描くボールパークの未来」

会見メモ

3月にプロ野球・北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」が開業した。その新球場を含む北海道ボールパークFビレッジのプロジェクトを率いた前沢賢・ファイターズ スポーツ&エンターテイメント取締役事業統轄本部長(写真1枚目)と三谷仁志・取締役事業統轄副本部長(写真2枚目)が、大型連休を含めた開業後の観客数の推移や実績、ボールパークの今後の展望などについて語った。

 

司会:森田景史 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)


会見リポート

先入観覆した先にある街は

安房 翼 (北海道新聞社東京支社報道センター)

 「世界がまだ見ぬボールパーク」の夢は、プロ野球北海道日本ハムファイターズの新本拠地・エスコンフィールド北海道が3月に開業したことで、大きな節目を迎えた。2015年からプロジェクトを牽引してきた前沢本部長と三谷副本部長はしかし、1時間の会見で、大事業を成し遂げた達成感よりも、新球場を核に一帯を行楽地や街に、そして、さらにその先の見通しを軸に語り、「まちづくり」への参画を呼びかけた。

 ボールパークFビレッジに誘致を進める施設について、前沢氏は「このエリアに必要なのは学校、オフィス、病院」と、従来の野球場周辺施設のイメージを覆す内容を列挙した。三谷氏は試合の数時間だけを目当てに訪れる観客動員数ではなく、「(訪れた)人口に時間を掛け合わせた総和をどう増やしていけるのかがキーポイント」とし、「(観戦より)長い時間いらっしゃる方や、そこに住む方を増やしていけば、まちづくりにつながる」と道筋を示す。

 また、会見の開始時刻に合わせて公表した、開業から約2カ月の各種データについても報告があった。Fビレッジに訪れた90万人のうち、約4割が野球観戦以外を目的としており、それとは別に、全体の約2割が北海道外から来ているという。開業特需はあるにせよ、ボールパークの行楽地化を示す内容だ。来場者の不満をアンケートやツイッターなどで受け止め、すぐに対応する「高速PDCA」について語る姿は、ついに自前の球場を持つことができた喜びにあふれているように見えた。

 ゲストブックには、前沢氏が「突破力」、三谷氏が「共同創造によるまちづくり」と揮毫した。突破力を発揮し難事業を形にした前沢氏が「今後重要なのは突破力ではなく、いかに共生しながら独自力を出していくか」と話したのが印象的だった。「完成度は40%弱」というボールパークの行く先を見届けたい。


ゲスト / Guest

  • 前沢賢 / Ken Maezawa

    ファイターズ スポーツ&エンターテイメント取締役事業統轄本部長

  • 三谷仁志 / Hitoshi Mitani

    ファイターズ スポーツ&エンターテイメント取締役事業統轄副本部長

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