2023年02月01日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「2023年経済見通し」(6) 佐々木融JPモルガン・チェース市場調査本部長

会見メモ

JPモルガン・チェース市場調査本部長の佐々木融さんが、今後の為替市場の動向と背景などについて話した。

 

司会 名村晃一 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)


会見リポート

イデオロギーが円安に影響

神子田 章博 (NHK解説主幹)

 今年も世界的なインフレと、円安の行方に注目が集まるが、佐々木氏は、“イデオロギー”という独自の視点からその行方を占う。従来の経済活動では、「いかに安く、いかに効率的に」が追求されてきたが、いまは「保護主義」や「脱炭素」といった政治的なテーゼが優先されるのだという。具体的には、アメリカなど先進各国でインフレが進む背景には、保護主義から移民を受け入れず人手が足りなくなっていること。またエネルギー価格上昇の背景には、脱炭素が叫ばれる中で産出量拡大に向けた投資が落ち込み、その結果供給が増えずに需給がひっ迫している事情があるといった例が示された。

 こうした経済効率よりもイデオロギーを重視する傾向は、円安の行方にも影響を及ぼすという。日本の賃金は上がらない状況が何年も続き、労働コストは世界的にみても割安になった。おまけに円安とくれば、企業も海外に移した生産拠点を日本に戻し、日本から輸出するようになってもおかしくない。そうなれば円安から円高方向へと修正が進むはずだが、実際にはそうなってはいない。その理由として佐々木氏は、①海外で保護主義が強まっている。「欧米で売るなら欧米で生産してくれ」といわれる中で、日本企業は海外での生産を続けざるを得ない。②先進国を中心に脱炭素が叫ばれている。日本から海外へ輸出すれば、輸送に関わる二酸化炭素の排出が増えるということで、投資家からNGを出される。③最後に、日本で生産しようにも急速に少子高齢化が進む中で人手が足りないという問題が残る。移民を受け入れて補う方法も考えられるが、移民はNOというイデオロギーがある。

 こうした見方などにもとづき、今後の円相場は、日銀の政策修正を材料にした投機的な円買いはあっても、それが長期的なトレンドになることはないのではないかという予測が示された。


ゲスト / Guest

  • 佐々木融

    JPモルガン・チェース市場調査本部長

研究テーマ:2023年経済見通し

研究会回数:6

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