2022年12月22日 15:00 〜 16:30 9階会見場
「中間選挙後の米国と世界」(6) 中林美恵子・早稲田大学教授

会見メモ

ワシントン州立大学大学院で安全保障を学び、米上院予算委補佐官(国家公務員)を務めるなど米政治に詳しい中林教授が、今後の政権運営や共和党の動向、2024年大統領選への影響などについて話した。

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)


会見リポート

現場感覚で見た米議会

飯山 雅史 (読売新聞出身)

 日本でもアメリカでも議会取材は難しい。審議日程の決め方など表にも裏にも細かなルールがあるうえ、次の焦点は何かを決める空気感をつかんでいないと、何が起きているのかさっぱり分からない。政治部にいたころ、首相官邸担当の時は何となく国会の動きを垣間見ることができたが、官庁担当になって霞が関に降りてしまうと、もう、まるで分らなかった。

 だから、議会を理解するためには現場感覚が必須である。中林さんの強みは何といってもそのところ。米議会で10年間、正式なスタッフとして仕事をした経験からくる現場感覚を、今回の記者会見でもいろいろと披露してくれた。

 今年は米予算法案をめぐる対決があまりメディアを賑わさなかったので忘れていたけれども、つなぎ予算期限が12月23日と指摘され(会見は22日)、「そうか、あと1日でまた政府閉鎖だってあり得る緊迫状態なんだ」と思いだした次第。

 その現場感覚と歴史分析で鮮やかに示してくれたのは、実は、これから共和党は苦しい議会運営に直面するという予測だ。中間選挙で下院を奪ったものの差はわずか9議席。1980年からの下院多数党と少数党の議席差を見ると、たいてい多数党は30議席超の余裕がある。今回のような僅差も過去に2回ぐらいはあったのだが、ともに多数党がホワイトハウスと上院も握っていたので、ねじれはなかった。ところが、今回の共和党はその両方とも民主党に握られているうえ、共和党内部にはフリーダムコーカスなど反乱予備軍がたくさんいる。彼らが造反して寝てしまったら、下院議長に内定したマッカーシー院内総務(共和党)の思い通りに下院が動くわけではない。

 なるほど、ねじれの発生でバイデン大統領は苦労するなと思っていたが、下院共和党にも苦しい日が続きそうだ。議会フォローが苦手な私は、見通しを専門家に任せることにしよう。


ゲスト / Guest

  • 中林美恵子 / NAKABAYASHI, Mieko

    日本 / Japan

    早稲田大学教授 / professor, Waseda University

研究テーマ:中間選挙後の米国と世界

研究会回数:6

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