2022年09月30日 14:45 〜 15:45 10階ホール
林芳正外相 会見

会見メモ

8月10日の内閣改造で留任した林芳正外相が、ウクライナ危機を踏まえた日本の外交、特に日米、日中、日韓外交などについて話した。

 

司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員長(日本経済新聞)


会見リポート

「近隣外交」2期目の課題

田中 庸裕 (時事通信社政治部)

 林芳正外相は1月の会見で「国際社会の時代を画する変化が加速していく」と語っていた。その後、ロシアのウクライナ侵攻で国際秩序は動揺。内閣改造に留任して臨んだ今回の会見を「予想は悪い方向に当たってしまった」と切り出した。

 環境悪化は欧州にとどまらない。東アジアでも中国は覇権拡大を図り、北朝鮮は核・ミサイル開発を加速。林氏は「日本および地域の平和と安定を維持する上で、近隣国との関係をいかにマネジしていくか。これは重要なことだ」と指摘した。近隣外交は友好増進だけでなく、安全保障に直結する課題となっている。

 国交正常化50年を迎えた中国。林氏は台湾情勢や尖閣問題を挙げ、「多くの課題や懸案に直面している」と認めた。その上で建設的・安定的な関係を目指し、首脳級を含むハイレベル対話実現に意欲を示した。

 ただ、中国の威圧的な対外姿勢に変化はみえず、「対話は常にオープンだ」との呼び掛けもむなしく響く。国民の対中感情が悪化する中、「親中派」との見方が付きまとう林氏が前のめりになれば反発を招きかねず、難しいかじ取りを迫られる。

 多くの懸案を抱える日韓関係では、改善に向けた韓国側との「緊密な協力」を明言し、対北朝鮮連携の強化も指摘した。一方、元徴用工問題をめぐる日本企業の資産「現金化」回避の道筋はみえない。微妙な地合いを反映し、日韓首脳が9月に米ニューヨークで約30分間の意見交換を行ったが、「会談」でなく「懇談」と位置付けられた。

 来年、日本は先進7カ国(G7)議長国と国連安保理の非常任理事国を務める。林氏は「今後世界が進むべき方向を示していく」と意気込みを見せた。国際社会をリードする上でも、周辺国との安定した関係は欠かせない。実績を築けるか、手腕が問われる2期目となる。


ゲスト / Guest

  • 林芳正 / Yoshimasa HAYASHI

    外務大臣 / Minister for Foreign Affairs

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