2022年10月19日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「科学技術立国」(7) 日本科学振興協会(JAAS)北原秀治代表理事、 原山優子代表理事

会見メモ

NPO法人日本科学振興協会(JAAS)は、科学の振興・普及に向けた民間団体として、揺らぐ研究基盤への危機感を持った若手研究者が中心となり今年2月に設立された。

代表理事の北原秀治さん(東京女子医科大学准教授)、原山優子さん(東北大学名誉教授)が登壇。JAAS設立の経緯、日本の研究者や研究支援者の現状、海外の研究環境の実態、求められる科学政策のあり方などについて話した。

 

司会 黒沢大陸 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

「科学研究基盤充実に民間からも力を」

原田 健男 (山陽放送出身)

 国の財政赤字が続く中で予算がカットされ、研究基盤が揺らぐ一方の現状に危機感を持った研究者らが今年2月、科学の振興・普及に向けた民間団体、NPO法人「日本科学振興協会」(JAAS)を設立した。日本学術会議や日本学士院などが国を代表する科学者の組織であるのに対し、JAASは科学者だけでなく、科学をサポートする人なら所属・年齢・国籍などを問わずだれでも参加できる、いわば民間の支援・交流組織だ。こうした団体は、主要国では長い歴史を持つが、日本にはこれまでなかったそうである。

 会見した代表理事の北原秀治さん(東京女子医科大学特任准教授)と原山優子さん(東北大学名誉教授)は、「国立大学だけでなく、企業の研究開発費も伸びが鈍化しており、博士号取得者は減少している。またその結果、主要国に比べ論文数も伸び悩み、国際共著論文も低迷傾向にあり、日本の科学は危機に立たされている」と訴えた。そして「日本の科学をもっと元気に」をスローガンにこの組織を立ち上げたことを明らかにした。

 具体的には、研究者・企業・政治家・マスコミ・学生・市民等に会員になるよう呼びかけ、科学や科学研究を身近に感じてもらうためのイベントの開催や動画配信、交流会や意見交換会の開催、国内外の関係団体との連携や人材交流の推進などを進めたいとしている。

 科学研究基盤を維持するため、政府は減る一方の国立大学への資金支援を補う10兆円ファンドを立ち上げ、国内トップ級大学に毎年運用益を配分することにしている。同様に各大学も研究開発費の捻出のため、これまで苦手だった資金集め・資産運用に一層の努力が求められている。また年功序列や終身雇用の見直しで大学と企業の研究者の交流を活発化させ、研究や起業等がやりやすい環境の整備が欠かせない。


ゲスト / Guest

  • 北原秀治 / Shuji KITAHARA

    日本科学振興協会(JAAS)代表理事、東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 特任准教授

  • 原山優子 / Yuko HARAYAMA

    日本科学振興協会(JAAS)代表理事、東北大学名誉教授

研究テーマ:科学技術立国

研究会回数:7

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