2022年08月29日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「バイデン政権の課題と日米関係」グレン・S・フクシマ米先端政策研究所上席研究員

会見メモ

来日中のグレン・S・フクシマさんが、中間選挙を控えたバイデン政権の現状と日米関係の行方などについて、現地の雰囲気なども交え解説した。

グレンさんは、米通商代表部(USTR)の対日交渉担当責任者、在日米国商工会議所(ACCJ)会頭を務めるなど、日米関係を深く知る。

 

司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

不透明さ増す米国政治の行方

沢村 亙 (朝日新聞社論説委員)

 混迷は深まるのか。多少とも安定を取り戻すのか。世界の命運はひとえに米国政治の行方にかかっているといっても過言ではない。政権内外から長年、ワシントン政治を見てきたフクシマ氏は、「分断」「流動的」「複雑」「不透明さ」のキーワードで現状を分析した。

 「分断」はいうまでもなく、今なお前回大統領選での敗北を認めないトランプ氏に多くの共和党支持者が同調する、激しい党派対立だ。なかでも比較的中立とみられてきた連邦最高裁が近年、分断を深める「政治的判断を出すようになった」とフクシマ氏は憂える。人工妊娠中絶の合憲性を否定した6月の司法判断はその象徴といえた。

 バイデン大統領への支持はやや持ち直したかにみえる。気候変動対策を盛り込んだインフレ抑制法案などの目玉公約の一部が実現したからだが、実際にインフレがどこまで抑え込めるか、ウクライナ情勢も含めて「流動的」な要素は大きい。

 「複雑」なのは民主党でのバイデン氏の立ち位置だ。30歳以下の同党支持層の多くが、前回大統領選でトランプ氏に勝ったバイデン氏は「使命を終えた」と考える。世代交代の待望論が、若い支持層に根強いとフクシマ氏は解説する。

 世論調査に米国人が本音を語らなくなり、「不透明さ」は増すばかりだ。さらに「論調は異なっても『事実』では争いがなかった1970年代までと違い、ケーブルテレビやSNS普及に伴い、事実への合意すら失われている」との指摘は、メディアに身を置く者には重い。

 かつて日米学生会議に参加し、フルブライト奨学金で東大に留学したフクシマ氏にとって、日米関係の行方も気がかりだ。政府間関係は良好だが、「議員交流が弱い」。日本から米国への留学生も減る一方だ。日米関係の安定を下支えする人的交流をどう再生するか。重要な警鐘だ。


ゲスト / Guest

  • グレン・S・フクシマ / Glen S. FUKUSHIMA

    米先端政策研究所上席研究員 / Senior Fellow, The Center for American Progress

研究テーマ:バイデン政権の課題と日米関係

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