2022年07月08日 14:15 〜 15:45 10階ホール
「台風は制御できるのか」

会見メモ

台風の威力を抑え込み、そのエネルギーの一部を有効活用するという目標を掲げた研究プロジェクト「タイフーンショット計画」が進められている。

この計画のリーダーの筆保弘徳・横浜国立大学教授(写真右)、坪木和久・名古屋大学教授が、計画のポイントや課題、航空機による台風観測の現状などについて話した。

 

司会 黒沢大陸 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

脅威が恵みになる未来目指す

信田 真由美 (毎日新聞社科学環境部)

 2050年までに台風を人工的に制御することを目標とする「タイフーンショット計画」。台風のエネルギーを利用した「台風発電」の実現も目指しており、横浜国立大の筆保弘徳教授(右)は「今まで脅威だった台風が恵みに変わるという未来を目指していきたい」と力を込めた。

 1960年代にはハリケーン制御の計画が米国であったが顕著な成果が出ないまま頓挫した。筆保教授は当時との違いについて「半世紀の間に台風の解明は飛躍的に進んだ。スーパーコンピューターが発達し自由にシミュレーションできるようになった」と語る。

 筆保教授は2019年の房総半島台風(台風15号)を用いたシミュレーション結果を紹介。台風の目の中に大量の氷をまくと中心気圧が上がって風速が低下し、建物被害は制御しなかった場合より30%減ったという。筆保教授は「予測精度も足りず、制御の仕方も問題あるが、こういった検証が今の技術でなんとかできそうだ。今後の研究でさらに高めていきたい」と話す。また、台風のエネルギーを利活用し、台風の風で船を動かし、水中のスクリューが回ることで発電をする「台風発電」に取り組む計画もあるという。

 一方、名古屋大の坪木和久教授は航空機から台風の目の中やその周辺に観測装置を投下し、風速などの情報をリアルタイムで地上に送る「航空機観察」に取り組む。これまでに3つの台風で観測を行ったという。坪木教授は「台風を制御するには台風の正確な予測が必要だ。そのためには現場で高精度な観測をすることが重要となる」と意義を語った。

 台風制御は内閣府が掲げる「ムーンショット型研究開発制度」に今年3月採択された。筆保教授は「倫理的社会的問題についても人文科学の先生と考え、皆さんの理解を得ることも重要となる」と話した。 


ゲスト / Guest

  • 坪木和久 / TSUBOKI Kazuhisa

    名古屋大学宇宙地球環境研究所教授

  • 筆保弘徳 / FUDEYASU Hironori

    横浜国立大学 先端科学高等研究院 台風科学技術研究センター センター長

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