会見リポート
2022年06月06日
16:30 〜 17:30
10階ホール
「こども家庭庁」(5) 加藤勝信・前官房長官
会見メモ
自民党「『こども・若者』輝く未来実現会議」の座長として議員立法であるこども基本法案を主導した加藤勝信・前官房長官が登壇。
法案策定にいたった背景や概要などについて話した。
司会 猪熊律子 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)
会見リポート
高揚感なき「子ども真ん中」
永澤 陽生 (共同通信社生活報道部担当部長)
この高揚感のなさは一体何なのだろう。来年4月に創設が見込まれる「こども家庭庁」のことだ。「子ども真ん中」をうたうが、具体的なイメージを描けていないのではないか。政府・与党の中枢で制度設計を担った加藤勝信氏の話を聞き、そんな思いを強くした。
日本における子ども政策のターニングポイントは1994年。この年には二つの大きな出来事があった。一つは合計特殊出生率が過去最低となった「1・57ショック」(90年)を受け、初の本格的な少子化対策となるエンゼルプランの策定。もう一つは、子どもの意見表明権や最善の利益を定めた「子どもの権利条約」の批准だ。
それから約30年。人口減少には歯止めがかからず、虐待、いじめ、貧困など、子どもを取り巻く環境は悪化した。加藤氏は少子化担当相や厚労相を歴任。行政の縦割りやNPOなど民間との連携不足を痛感したという。新たな省庁創設を打ち出した菅政権では官房長官を務め、その後は「政策の仕切り直し」として、自民党内の議論を取りまとめた。
子どものための新たな省庁誕生は画期的だ。しかし関係者に聞くと、その評判は必ずしも芳しくない。
まずは財源。岸田首相は国会でお決まりの「倍増」をたびたび口にしているが、税か、保険か、はたまた企業などの拠出金なのか、具体策は不明。行政の縦割り解消と言いながら、幼保一元化も実現しなかった。
子どもの権利を守るための第三者機関「子どもコミッショナー」設置も見送られた。加藤氏は「党内でも侃々諤々の議論があったが、熟していないと判断した」と述べた。
「まずは新たな組織を回すこと。課題は走りながら解決すれば良い」と加藤氏。子どもが「真ん中」どころか「置き去り」にならないように、しっかりと注視するのが私たちの役目だろう。
ゲスト / Guest
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加藤勝信 / Katsunobu KATO
前官房長官、自民党「『こども・若者』輝く未来実現会議」座長
研究テーマ:こども家庭庁
研究会回数:5