2022年06月06日 14:00 〜 15:30 10階ホール
フランク・ジャヌージ・マンスフィールド財団理事長・最高経営責任者 会見

会見メモ

マンスフィールド財団では2018年から2019年にかけ使用済み核燃料、核廃棄物に関して、専門家らによる日米韓対話を開催してきた。

同財団のフランク・ジャヌージ理事長・最高経営責任者(写真左から1枚目)と、日米韓対話プロジェクトのメンバーであり原子力の専門家であるシカゴ大学のロバート・ロズナー教授が登壇し、同プロジェクトの成果を発表した。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)

 

 


会見リポート

日米韓連携強化は待ったなし

金 寿英 (毎日新聞社外信部)

 日米韓3カ国連携の「ファシリテーター」役を担う米マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ理事長とシカゴ大学の物理学者、ロバート・ロズナー教授は3カ国による新たな協力分野の一つとして、原発の使用済み核燃料処理に着目した。長期間の安全安心な処理を巡り、3カ国は共通の課題を抱える。「将来的に脱原発を目指すか否かにかかわらず直面する問題だ」と力説した。

 3カ国では大半の使用済み核燃料が原発敷地内で「プール貯蔵」されているが、災害やテロはもとより、ロシアのウクライナ侵攻では原発が軍事攻撃の標的にすらなり得るというリスクを世界が目撃した。ロズナー氏は、専用の金属製容器「キャスク」で空冷する乾式貯蔵の優位性を指摘。頑強で冷却用の外部電源も要らないため事故のリスクは格段に低いというが、敷地外での貯蔵には地元理解を得る壁が高いのも3カ国ならではの共通課題だ。

 ジャヌージ氏は2004年に米国訪問団の一員として北朝鮮・寧辺(ニョンビョン)の核施設を視察し、プルトニウムのサンプルを手に取った。その経験を基に北朝鮮の非核化が進展するとすれば「核廃棄物の処理も大きな課題になる」と語り、3カ国で得たノウハウも生かせるとの考えを示した。

 質疑応答では5月23日の日米首脳会談後の共同会見で、台湾防衛に軍事的に関与するかと問われたバイデン米大統領が明言した「イエス」の真意にも関心が集まった。バイデン氏を補佐した経験を持つジャヌージ氏は、バイデン氏が「台湾関係法に精通している」とし、こう解説した。「台湾を軍事攻撃する中国はいまの中国とは違う。そんな深刻な事態となれば米国は対抗すべきだと大統領は考えているのでしょう」。地域の安保環境が厳しさを増す中、平和と安全の維持に歴史問題などの日韓対立でぎくしゃくする3カ国連携の立て直しがもはや待ったなしの状況であることに疑問の余地はない。


ゲスト / Guest

  • フランク・ジャヌージ / Frank Jannuzi

    アメリカ / USA

    マンスフィールド財団理事長・最高経営責任者 / President and CEO of The Maureen and Mansfield Foundation

  • ロバート・ロズナー / Robert Rosner

    シカゴ大学教授 / Professor, University of Chicago

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