会見リポート
2022年05月13日
14:15 〜 15:15
オンライン開催
「沖縄復帰50年」(8) 玉城デニー沖縄県知事
会見メモ
5月15日に沖縄への施政権返還から50年を迎えるのを前に、玉城デニー沖縄県知事がリモートで会見した。
司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
会見リポート
平和こそが発展の基礎
川上 高志 (企画委員 共同通信社特別編集委員)
沖縄県が復帰50年の節目にまとめた「新たな建議書」は「復帰当時の先人達の願い、今を生きる私たち県民の思い」として「平和で豊かな沖縄」の実現に取り組むよう求めている。「基地のない平和な島」は復帰前年に当時の琉球政府が作成した「建議書」のキーワードだ。この半世紀、課題は何も変わっていないことを物語っている。
「日本が絶対に二度と戦渦に巻き込まれるような状況にならないために、平和こそが生活の全てだということをいま一度、考えていただきたい」。玉城デニー知事は記者会見の最後をこう締めくくった。「日本が」という言葉を聞き逃してはならない。
半世紀の間に、米軍基地は沖縄に集中し、さらに返還合意した基地の移設先として新基地建設が進む。自衛隊の南西諸島配備も強化されている。安全保障は日本全体の課題だ。だが、その負担は沖縄に押し付けられている。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、永田町では防衛力増強の声が強まる。だが、玉城氏は「戦争は千害あって一利なしだ」と強調。「ウクライナの状況に乗じて抑止力強化という名目の下、防衛費の倍増や憲法改正などが十分な議論なしに進められようとしている。間違った選択をしてはならない」と強調した。
県民所得が全国最低の沖縄だが、将来像を描ける可能性を持っている。沖縄にはアジアとの交流の歴史がある。「その歴史的特性を生かし、ダイナミズムを取り込むこと」だ。また、返還された基地の跡地利用が大きな経済効果を生み出すことも実証されている。
これらを生かす前提条件は地域の緊張緩和と基地の返還だ。「平和こそが発展の基礎となる。日本政府はアジアの平和維持のために主体的に貢献する役割を担うべきだ」と玉城氏は述べ、「政府にその判断を行わせるのは国民だ」と強調した。50年の節目に改めて受け止めなければならない言葉だ。
ゲスト / Guest
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玉城デニー / Denny Tamaki
沖縄県知事 / Okinawa Governor
研究テーマ:沖縄復帰50年
研究会回数:8