2022年05月11日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「こども家庭庁」(3) 泉房穂・明石市長

会見メモ

子育て支援策を展開してきた泉房穂・明石市長が、市の取り組みを交えながら子育て政策の在り方、こども家庭庁創設についての考えを話した。「こども家庭庁をつくることには賛成だが、今回の法案には反対。もっと議論してよい制度にすべき」と厳しい評価を示した。

 

司会 猪熊律子 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)


会見リポート

文科省の積み残しは問題

堀井 恵里子 (毎日新聞社論説委員)

 来年度に「こども家庭庁」が発足すれば、日本の子ども政策は変わるのか。「子どもを核としたまちづくり」に取り組んできた兵庫県明石市の泉房穂市長は辛口の評価をした。

 「子どもというキーワードが政治のメインテーマになったのは好ましい」としつつも、同庁については「現時点では賛成ではない。もっといい物を作りましょうという立場だ」と言う。特に批判したのが、幼稚園など文部科学省の所管が移管されず、未就学児向けの施策が両省庁に分かれたままになる点だ。

 縦割りの弊害は市政にも及んでいる。待機児童対策として、幼稚園の空き教室に保育所の分園を作ろうとしたが、教育委員会は当初、非協力的だったという。政府はこども家庭庁と文科省の連携を進める方針だが、「権限なくして仕事ができるわけがない」と強調した。

 明石市の子ども施策の進め方については、「5つのポイント」を紹介した。

 1点目が「熱い思い」で、「すべての子どもたちをみんなで本気で応援すれば、みんなが幸せになる」という。2点目が、「施策推進のための組織体制づくり」で、市の児童相談所や「こども局」を創設した。

 3、4点目が「ひと」と「カネ」。子ども部門の職員を3倍に増やし、専門職を採用して質の向上も図った。予算は倍増させ、高校生までの医療費や第2子以降の保育料など、子どもにかかる費用の無料化も進めた。財源は、豪雨対策のハード整備を見直すなどして、他部局から融通した。最後が「市民の共感」で広報誌で毎号、市民向け施策の特集を組んでいる。

 明石市では、子ども施策を充実した結果、人口が増えて町のにぎわいが増し、税収も増加しているという。「子どもを応援すれば経済が良くなる」「明石市でもできることは国でもできる」と力強いメッセージを発した。


ゲスト / Guest

  • 泉房穂 / Fusaho IZUMI

    兵庫県明石市長 / Mayor of Akashi city

研究テーマ:こども家庭庁

研究会回数:3

前へ 2025年05月 次へ
27
28
29
30
1
2
3
4
5
6
7
10
11
12
17
18
24
25
27
28
31
ページのTOPへ