2022年04月11日 15:30 〜 17:00 10階ホール
赤木雅子さん 会見

会見メモ

財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ、自死した同省近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻、雅子さんと、代理人を務める弁護士の生越照幸さんが会見した。

 

司会 坪井ゆづる 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

改ざんの真相究明改めて訴え

清水 真人 (日本経済新聞社編集委員)

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざん事件。近畿財務局職員として改ざんを強いられ、反発、抗議した赤木俊夫さんはその後、心を病み、自死した。4年が過ぎ、妻の雅子さんが真相究明を改めて訴えた。

 開始前に会見の条件として「ゲストのお顔の撮影はしないでください」と事務局や司会者から注意喚起が繰り返され、緊張感が漂った。代理人の生越照幸弁護士との実質的な共同会見。雅子さんは時に悲痛な語調で声をつまらせ、時にユーモアも交えてよどみなく語った。

 「山のようにあります!」と声のトーンを上げたのは「安倍晋三元首相や麻生太郎前財務相に言いたいことは」との問いにだった。「安倍さんは国会での(自分や妻が関係していたなら首相も議員も辞めるとの)あの発言をどう思っているのか。夫が亡くなったこと、公文書が改ざんされたことをどう思っているのか」

 なぜ改ざんが進んでいったのか、財務省の調査報告を経ても「分からない」と発言した麻生氏には「財務省のトップだったのだから、知りてえんだったら、自分で調べろよ」とべらんめえの口調を真似て迫った。改ざんを方向づけたとされる佐川宣寿元理財局長にも「なぜ改ざんしたのか。誰に言われたのかを聴きたい」と厳しく矛先を向けた。

 真相究明に加え、安倍夫妻や麻生氏、佐川氏にそろって強く望んだのは「夫の墓参りをして手を合わせてほしい」だった。「3月の夫の命日にも財務省は誰一人来ない。長く勤めた組織に無視され、夫はとてもさみしい思いをしている」と述べた。

 会見の目的の一つがニュースを引き出すことなら、この日は新たな事実の発見はなかったかもしれない。

 雅子さんは国家賠償請求訴訟で真相究明を目指したが、国が請求を認めて終わらせた。佐川氏個人への訴訟と、財務省が大阪地検特捜部に任意提出した資料の開示を巡る訴訟が続く。防戦する財務省も事件の深刻な打撃を今なお引きずっている。


ゲスト / Guest

  • 赤木雅子 / AKAGI Masako

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