会見リポート
2022年04月18日
13:00 〜 14:30
10階ホール
「こども家庭庁」(2) 前田晃平・認定NPO法人フローレンス代表室長
会見メモ
こども家庭庁は発足後、新たな政策として子どもにかかわる仕事に就く人の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」制度を検討する。
認定NPO法人フローレンス代表室長の前田晃平さんが「日本版DBS」の必要性と今後の課題について話した。
フローレンスは親子領域の課題解決のための支援事業に加え、自らも病児保育事業などを運営、かねてから「日本版DBS」の必要性を訴え、様々な提言を行ってきていた。
司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)
会見リポート
子どもへの性犯罪防止策必要/前歴者を現場に戻さない仕組みを
清水 健二 (毎日新聞社くらし医療部長)
保育所と幼稚園を別々の官庁が所管しているのをはじめ、とかく子どもを巡る政策は縦割りの弊害が指摘されてきた。そんな中で2023年4月、司令塔となる「こども家庭庁」の誕生が見込まれている。これを機に前田さんが導入を強く訴えるのが、証明書の発行で性犯罪の前歴者を保育や教育の現場に戻さないことを担保する「日本版DBS」と呼ばれる仕組みだ。
子どもを保護・指導する立場にいる人物による性犯罪は、ベビーシッターのマッチングアプリの登録者が立て続けに強制わいせつ容疑で逮捕された「キッズライン・ショック」で注目を浴びた。小児わいせつは再犯率の高さでも知られる。社会の危機意識の高まりを受け、21年5月には、わいせつ行為で懲戒免職処分となった教員に免許を再交付しないことを可能とする「教員の性暴力防止法(わいせつ教員対策法)」が議員立法で成立した。
ただ、これは「教員」という枠内の話で、その外側は何の規制もない。子どもに関わる職業は、塾講師、ベビーシッター、習い事のインストラクターなど幅広く、所管も異なる。前田さんは現状を「大人ファーストの法制度と行政で、子どもの権利が分断されている」と批判する。
岸田文雄首相が1月の施政方針演説で日本版DBSの構築を明言し、方向性は固まってきた。ただ、憲法が保障する「職業選択の自由」との兼ね合い、個人情報の取り扱い、加害者の社会復帰の観点、そして最も難しい「どの範囲の犯罪・職業を対象とするか」まで、論点は多岐にわたる。微妙なバランスが求められる中で制度が骨抜きにされ、実効性を伴わなくなるリスクもあろう。
前田さんは「既存の法令も膨大な議論の末にできており、簡単に崩すべきではない。できるところから始めたい」と息の長い運動を覚悟する。丁寧な議論を積み重ねて理解を深めていこうという姿勢に共感した。
ゲスト / Guest
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前田晃平 / Kohei Maeda
認定NPO法人フローレンス代表室長
研究テーマ:こども家庭庁
研究会回数:2