2022年03月22日 16:00 〜 17:00 9階会見場
「五輪後のスポーツを考える」(2) 森泰夫TOKYO2020組織委員会大会運営局次長

会見メモ

東京大会でTOKYO2020組織委員会本部と現場をつなぐキーパーソンとして活躍したTOKYO2020組織委員会大会運営局次長の森泰夫さんが、東京大会での経験を振り返るとともに、ここで得た経験をどう社会に生かしていくのかなどについて話した。

 

司会 森田景史 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)


会見リポート

運営人材活用の環境づくりを

山下 昭人 (時事通信社運動部)

 2021年の東京五輪・パラリンピックは開幕前から多くのトラブルに見舞われながらも、大会運営自体は大過なく終えた。運営全般を所管する組織委員会大会運営局の森泰夫次長が2年4カ月ぶりに登場。国外から高く評価された大会準備業務を振り返った上で、培った人材を将来の国際イベント運営に活用する仕組みづくりの重要性を訴えた。

 森氏が統括した東京大会56競技のテストイベントのうち、詳述したのが大会9カ月前に急きょ札幌へ会場が変更されたマラソンと競歩。本来なら何年も必要なコースづくりを、世界陸連(WA)や地元の要望を取り入れながら短期間で決定。五輪中には猛暑を懸念したWA会長から翌日のマラソン開始時間の前倒しを突然求められる難しい局面もあったが、妥協点を見いだした。「真剣な協議を行っている関係があるかどうかで、IOC(国際オリンピック委員会)やIF(国際競技団体)との交渉が変わってくる。積み重ねていく作業が非常に重要」と森氏。「全ての権限を先方が持つ」中での厳しい交渉は、議論の積み重ねで生んだ信頼関係があったからこそ打開できたと振り返る。

 東京大会は教員やボランティアが多くの国内大会を支える日本の「現場力の強さ」を感じる機会になったという一方、「スポーツイベントはスポーツ界だけで行うものではなくなってきた」との思いも持つ。多様な人材を大会運営に関わりやすくし、過去の知見が継承されない従来の問題点を改善できる方法の一つとして、「人材プール」の形成を提案。「国際イベントは人材育成にとって最高の舞台。社会課題を解決していくような人材になる」。この分野に力を入れる意義を訴えた。

 マラソンなどの準備で地元関係者と深く関わった森氏は「北海道、札幌の運営力の高さを見せた」とも指摘。札幌市が招致に乗り出している30年冬季五輪に向けて前向きな要素になったとの認識も示した。


ゲスト / Guest

  • 森泰夫

    公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会大会運営局次長

研究テーマ:五輪後のスポーツを考える

研究会回数:2

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