2022年03月14日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「ウクライナ」(4) 小谷哲男・明海大学教授

会見メモ

安全保障や地政学、日米同盟を研究する小谷哲男教授が、ロシア軍によるウクライナ侵攻を巡る米国の対応について分析した。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

伝わる米政権内部の空気感/機密情報の積極開示は今後も

安間 英夫 (NHK解説委員)

 すでに“世界史の転換点”と指摘されるロシアによるウクライナへの軍事侵攻。米国の政界に独自の情報源を持つ小谷教授の発言からは、バイデン大統領はじめ、政策決定に臨む当局者の空気感、息遣いが伝わってきた。

 今回、米国が事前に発していた情報はかなり正確だったことが事後になって分かり、世界を驚かせた。小谷教授は「これまでにない積極的な機密情報の開示が行われた」として、その結果、プーチン大統領の開戦の決断を遅らせたこと、国際社会の連携が強化されたことなどで功を奏したと指摘した。情報源に危険がありながらも、こうした機密情報の積極開示という情報戦のやり方は今後も続けていく可能性があるという。

 またバイデン政権で去年秋以降、対ロシア政策を見直すべきと主張していたのが元駐ロシア大使でCIA長官のバーンズ氏であり、「ロシア軍の展開は決して脅しではなく、本当に侵攻することに備えるべきだ」として警告を発していたという。

 バイデン大統領はこのところ、2015年にマイヤーズ氏によって出版された『新たなロシア皇帝』(注1)という本を読むよう部下たちに勧めているという。また小谷教授は、バイデン氏が18年に米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に共著で発表した「クレムリンにどう立ち向かうべきか」(注2)という論文も紹介した。「米ロ両国は核戦争を防ぐ責任を共有している」と書かれたこの論文を読むと、「バイデン氏が第3次世界大戦を引き起こしてはならないと言う背景が理解できる」という。こうした指摘はバイデン氏の対ロシア政策の内在的論理を理解するうえで有益と感じる。

 “世界史の転換点”となる重大事は進行中だ。小谷教授にはひきつづき、米国の動向に関する知見において“積極的な情報開示”をお願いしたいと思うのは私だけではないはずだ。

 

(注1) Steven Lee Myers. (2015). The New Tsar: The Rise and Reign of Vladimir Putin.

(注2) Joseph R. Biden, Jr., and Michael Carpenter.(2018). How to Stand Up to the Kremlin: Defending Democracy Against Its Enemies. FOREIGN AFFAIRS.


ゲスト / Guest

  • 小谷哲男 / Tetsuo Kotani

    明海大学教授、日本国際問題研究所主任研究員 / associate professor, Meikai University

研究テーマ:ウクライナ

研究会回数:4

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