2022年03月17日 16:00 〜 17:00 10階ホール
片野坂真哉・日本経済団体連合会副会長 会見

会見メモ

日本経済団体連合会の片野坂真哉副会長・外交委員長(ANAホールディングス代表取締役社長)が、3月17日に審議入りした経済安全保障推進法案についての経済界としての受け止め方、審議にあたり求めることなどについて話した。

 

司会 伊藤雅之 日本記者クラブ企画委員(NHK)

 


会見リポート

経済安全保障推進法案を評価/「日本の技術を世界に通用させる好機」

井上 勝則 (共同通信社経済部)

 「国民生活に直結するテーマで、補助金は税金負担になる。国民の理解が必要だ」―。経済安全保障推進法案の国会審議が始まった日に記者会見した経団連の片野坂真哉副会長が、罰則規定の行方が注目を集めてきた法案の本来の意義を強調した点が印象的だった。

 新型コロナウイルスの流行当初のマスク不足、ワクチンの海外依存、多発するサイバー攻撃、ロシアのウクライナ侵攻後のサプライチェーン(供給網)の混乱。こうした日本の課題克服に向け「企業が担う経済と、国家が担う安保を切り離すことは不可能で、待ったなしだ」と語った。

 法案は半導体など供給網の強化、基幹インフラの安全性確保、先端技術開発、特許非公開化が4本柱だ。自由な経済活動の制約は最小限とするべきだと要請してきた経団連としては「法案は経済界の意見を適切に反映しており、評価できる」と分析した。

 法案自体は成立が確実視されているが、規制対象の多くは各所管官庁の政省令などで定められる。この点に関しては「注視していく」と強調し、今後は政府との綱引きも予想される。

 デジタル化の遅れ、GAFAなど巨大プラットフォーマーに対する国内産業界の危機感を表明。「法案は日本の技術を世界に通用させていく好機でもある」と述べ、人工知能(AI)や量子技術といった分野の競争力強化に生かすべきだと主張した。今回の法制化と並行してEPA、FTAの拡大による供給網の強靱化を政府に促した。

 課題としては「経済安保の専門人材を各企業が確保していくのがブームになる」と指摘し、企業側の対応力強化を挙げた。さらには、機密情報へのアクセスを一部の政府職員や民間技術者に限定する「セキュリティー・クリアランス」といった情報保全制度の早期導入も訴えた。


ゲスト / Guest

  • 片野坂真哉 / Shinya Katanozaka

    日本経済団体連合会副会長 / Vice-Chairman, Keidanren (Japan Business Federation)

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