2022年02月22日 16:30 〜 17:30 9階会見場
ラフマーニ駐日イラン大使 会見

会見メモ

ラフマーニ駐日イラン大使が離任を前に、中東情勢、対米関係の現状などについて話した。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)

通訳 稲見誉弘(駐日イラン大使館)

 


会見リポート

核合意には全制裁解除必要

松尾 博文 (日本経済新聞社論説委員兼編集委員 )

 核合意をめぐるイランと米欧など6カ国の交渉は合意が近い。そんな観測が世界を駆け巡った直後に開かれたラフマーニ大使の会見は、イランの考え方を直接確かめる貴重な機会になった。

 大使は「ウィーンでの協議は大きな進展があった」と語る一方、「解決されなければならない重要な議題が残っている。米欧が政治的な決断を下せば短期間での合意が可能だ」と述べた。残る議題について明言しなかったが、「何より必要なのは、新しい合意がすべての当事国に利益をもたらし、そのためにはイランに対するすべての制裁が解除されることが必要」と指摘した。

 さらに「米欧は一度試験に失敗しており、今回は強い意志を示すべきだ」との表現で、米国のトランプ前政権が一方的に合意から離脱したことを批判し、合意から二度と離脱しないことの確認を求めていることを示唆した。核合意を軌道に戻したうえで、日本との経済分野での関係強化への期待を表明した。

 また、ウクライナ危機について、当事国の冷静な対話が必要とする一方、「米国が主導する北大西洋条約機構(NATO)の干渉が状況を悪化させている」と指摘。イエメン内戦についても内政不干渉と領土の一体性の重要性を強調しながら、「国連安保理や国際社会のダブルスタンダード」への不満をのぞかせた。

 ラフマーニ大使の日本記者クラブでの会見は2018年7月の着任以来、今回で5回目。離任を控え、この会見が最後の公務となった。「新型コロナと経済制裁が重なり、着任前に2国間関係の発展に向けて考えていたリストの多くは実現できなかった」と心残りも明かしたが、「イランと日本の長い交流の資産をきちんと守っていかなければならない」と、積極的にメディアの前に立ってきた大使らしい言葉で締めくくった。

 


ゲスト / Guest

  • モルテザ・ラフマーニ・モヴァッヘド / Morteza Rahmani Movahed

    イラン / Iran

    駐日イラン大使 / Ambassador of the Islamic Republic of Iran

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