2022年02月28日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「バイデンのアメリカ」(15) 吉崎達彦・双日総合研究所 チーフエコノミスト

会見メモ

双日総合研究所の吉崎達彦チーフエコノミストが、経済問題を中心に、バイデン政権の現状と今後の展望について話した。

 

吉崎さんは日商岩井(現双日)に入社後、米国ブルッキングス研究所客員研究員や、経済同友会調査役などを経て2004年から現職。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

米中間選挙は「歴史的転換点」に

岸田 芳樹 (時事通信社解説委員)

 深刻化する国内の分断やインフレなど困難な課題に直面し、支持率が低迷するバイデン米大統領。ロシアによるウクライナ侵攻への対応も迫られており、11月の中間選挙では、与党民主党は苦戦を強いられそうだ。双日総合研究所の吉崎達彦チーフエコノミストは、今回の中間選挙は「米国史の中で最も重要なものの一つ。歴史的転換点になる」と指摘した。

 民主、共和両党の議席数は、上院が50対50、下院は221対213(欠員1)。「最初の中間選挙は、大統領にとって難所。下院はかなり民主党が負ける」と分析。「共和党が勝てば2024年の次期大統領選にトランプ氏が出てくる可能性が高まる」と語った。

 一方、民主党は、バイデン大統領の後継候補とみなされていたハリス副大統領が移民対策などで功績を上げることができず、中間選挙で民主党が大敗した場合は、ポスト・バイデンを狙って他の候補者が一斉に動きだし、左派の力が強まって「エリザベス・ウォーレン上院議員が強くなるのではないか」と述べた。

 コロナ禍で大きな影響を受けた米経済は、「力強く成長しており、アフターコロナで大きな変貌を遂げる可能性がある」と楽観論を展開。インフレについては、エネルギー価格の上昇など複合的要因があるものの、リベラル派エコノミストが、金融緩和とともに大規模な財政支出を推進する「高圧経済」を志向した要因が大きいという。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は利上げに加え、約9兆ドルに膨らんだFRBの保有資産を削減する量的引き締め(QT)でインフレ抑制に取り組もうとしているが、かじ取りが難しく世界経済にも大きな影響を及ぼす恐れがあると指摘した。

 ウクライナ侵攻に伴う対ロシア制裁については効果が未知数で、厳しい制裁を科されている「イラン、北朝鮮も参ったとは言っていない。ロシアの侵略者を金融制裁で止められないのではないか」と懐疑的な見方を示した。


ゲスト / Guest

  • 吉崎達彦 / Tatsuhiko Yoshizaki

    双日総合研究所 チーフエコノミスト

研究テーマ:バイデンのアメリカ

研究会回数:15

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