2022年02月25日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「サイバー社会」(6) メタバース入門 山本康正・東京財団政策研究所主席研究員

会見メモ

どのような機器で、どのような活動・サービスを実現し、人々の生活をどう変えていくのかーー。

2021年秋にフェイスブックが社名を「メタ(Meta)」に変更したことを契機に関心が高まる「メタバース」について、山本康正・東京財団政策研究所主席研究員が解説した。

山本さんは、米Google勤務を経てベンチャー投資家としても活動している。

 

司会 中山淳史 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞) 

 

※ゲストの意向によりYouTubeでの動画公開は行いません。


会見リポート

メタバースの決め手はコンテンツ

下山 純 (共同通信社編集委員)

 米フェイスブックが昨年10月に社名を「メタ」に変更し、「これからはメタバースだ」と“宣言”して火が付いたブームについて、東京財団政策研究所の山本康正・主席研究員は横並びを意識する企業が「置いて行かれる恐怖(Fear of Missing Out)」に追い立てられている状態だと指摘した。

 2000年代後半にブームを巻き起こした仮想世界「セカンドライフ」は、さまざまな企業が殺到したもののカオスに陥り、コンテンツの質を高められずに消えた。

 では、今のメタバースはこれからどうなるのか。それを考えるため、山本氏はハード面とソフト面の「因数分解」を勧める。

 現在のメタバースは、ハード面の通信の高速化や映像をリアルタイムに3D化するプログラム、人工知能(AI)、ブロックチェーン技術に加え、新型コロナ禍でバーチャル体験への抵抗感が減ったことなどが複合的に支えている。

 メタバースは、ゴーグルで没入する「VR」と現実空間にホログラムを重ね合わせる「AR」の二通りがある。どちらが主流になるか分からないが、山本氏は、最終的にゴーグルなどのデバイスをわざわざ装着してまで楽しみたいコンテンツがあるかどうかにかかっていると言う。

 日本には、任天堂の「スーパーマリオ」やプレイステーションの「ファイナルファンタジー7」に代表されるゲームソフトの歴史があり、世界的な人気を誇る。まず良質なコンテンツを押さえ、デバイスと組み合わせるのはメタバースも同じだ。

 山本氏は、メタバースで日本にはビジネス的な勝機があると期待する。スタジオジブリの作品なども含め、世界に発信できるコンテンツがまだまだ豊富にあるからだ。

 メタバースは話だけでは分からない。まずはVRゴーグルで体験してみて!が山本氏のアドバイスだ。


ゲスト / Guest

  • 山本康正 / YAMAMOTO Yasumasa

    東京財団政策研究所主席研究員/京都大学大学院特任准教授

研究テーマ:サイバー社会

研究会回数:6

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