2022年02月17日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「新型コロナウイルス」(79) 高山義浩・沖縄県立中部病院医師

会見メモ

沖縄県は全国で最も早くオミクロン株を中心とする新型コロナウイルスの感染拡大の波(第6波)が広がった。県の政策参与も務める高山義浩・沖縄県立中部病院医師が、第6波の特徴や現状、今後の課題などについて話した。

 

司会 浅井文和 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

出口戦略には可逆性が必要

堀井 恵里子 (毎日新聞社論説委員 )

 新型コロナウイルスのオミクロン株は、「これまでとは別のウイルス」との指摘があるほど大きく性質が変わった。米軍基地を起点に、全国で最も早く感染拡大に直面した沖縄県からの報告だ。

 オミクロン株は「若者にとってはインフルエンザ並み」とも言われる一方、ワクチン2回接種の効果が薄れていた高齢者の入院が目立ち、病床の逼迫につながった。

 医療崩壊を防ぐために「インパクトが大きかった」というのが、入院期間の短縮だ。ハイリスクの人に治療薬を速やかに投与すると、中等症になっても短期間で回復して退院できた。容体が安定した人は、後方支援病院や宿泊療養施設への転退院も推進して乗り切ったという。

 もう一つ重要だったのが、高齢者介護施設の協力だ。陽性でも無症状の入居者は、そのまま施設で療養したという。医療側も巡回診療で見守り、容体が悪化すれば早期に入院できるようにした。オミクロン株は病原性が下がったと指摘されているが、死者が少なかった理由はそれだけではない。「現場のトリアージで救命率を上げた部分もある。医療と介護の現場でやったことも評価してほしい」と訴えた。

 感染抑制のため適用された「まん延防止等重点措置」については「危機感を共有して、感染を広げないという効果はあった」と評価した。措置適用で県外からの渡航者や、飲み会に伴う運転代行が大きく減ったからだ。

 海外に目を転じれば、ワクチンの普及や治療薬の実用化を踏まえ規制緩和が進む国がある。政府は新型コロナ対策の見直しを模索しており、高山氏も「2年前に決めたことが(今も)必要だとは誰も思っていない」と肯定する。ただし、新たに重症化しやすい変異株が登場する可能性もある。その場合は対策を再強化できるよう「可逆的な出口戦略をとらないといけない。そこが難しい」と注意を促した。

 


ゲスト / Guest

  • 高山義浩

    沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科 副部長、沖縄県政策参与

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:79

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