2022年01月13日 16:00 〜 17:00 10階ホール
林芳正外相 会見

会見メモ

第2次岸田内閣で外務大臣に就任した林芳正大臣が、2022年の外交政策について話した。

 

司会 乾正人 日本記者クラブ理事(産経新聞)


会見リポート

「楕円の理論」かみしめて

前田 大輝 (共同通信社政治部)

 「大平正芳元首相がかつて言っていた楕円の理論。好きな言葉だが、外務省でこの言葉の重みをかみしめている」

 約8年半ぶりに登壇した林芳正外相は、所属する派閥・宏池会の先輩で、有数の「外政家」と評される大平氏の理念を紹介した。楕円のように物事には二つの中心があり、いずれかに傾斜するのではなく、均衡を保ちつつ緊張した関係であるのが肝要との意。バランスを重視した外交を展開する姿勢を強調したものだ。

 林氏は、日中友好議員連盟会長を務めた経緯から「親中派」との見方がくすぶるが、外務官僚が舌を巻くほど英語が堪能で、米議会でスタッフとして勤務した経験のある「親米派」でもある。米中対立が先鋭化する難しい局面で外相に就任した。

 林氏はまず、日米同盟強化の重要性に言及。日本が国家安全保障戦略など「3文書」改定に着手する一方、米国が戦略文書策定を進めていることに触れ、「よく打ち合わせをし、両国で文書をまとめていく大きな仕事がある」と説明した。「インド太平洋で日米同盟が基軸となり、自由で開かれた秩序、普遍的価値を守る」と述べ、中国をけん制した。

 中国に対しては「国際社会のルールにのっとって、大国としての責任を果たすことで、国際社会の期待に応えることが重要だ」と指摘した。中国による沖縄県・尖閣諸島周辺での領海侵入などに強い懸念を示しつつ、「主張すべきは毅然と主張し、責任ある行動を求める。同時に、共通の諸課題に協力していく」と語った。

 林氏は「不易流行」が座右の銘だとして「変えるべきところを変えるのが『流行』で、変えてはならないところを守るのが『不易』。境目をどう見極めるかを肝に銘じたい」と力を込めた。米中の狭間で外交手腕が問われる中、林氏がどのような「楕円」を描くかが注目される。


ゲスト / Guest

  • 林芳正 / HAYASHI Yoshimasa

    外務大臣 / Minister for Foreign Affairs

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