2022年01月27日 14:00 〜 15:00 10階ホール
工藤泰志・言論NPO代表 会見

会見メモ

昨年11月に創設20年を迎えた言論NPOの工藤泰志代表が、創設の経緯とこれまでの活動について話した。

  

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

 

非営利シンクタンク言論NPO 


会見リポート

「世界の課題解決に民間の力を」

石黒 穣 (読売新聞社編集委員)

 民間が強くなれば未来を変えられるーー。20年前に言論NPOを創設したのはこの思いから。世界が分断に向かい、民主主義が市民の信頼を失っている今こそ、民間が言論を通じて課題解決の意志を示すことが求められているという。

 シンクタンクとして、大きく2つのミッションを掲げてきた。ひとつは政治と有権者をつなぐこと。もうひとつは民間外交だ。

 手ごたえはどうだったのだろう。

 「選挙は政治が市民に約束する場であり、国民に向き合う政治とは選挙の約束を実行するサイクルが回る政治」。この考えから、政党のマニフェストと政府の政策評価に乗り出した。ところが10年以上続けたこの作業は2017年の総選挙を最後に打ち切った。

 与党も野党も、選挙で不利にならないよう政策の争点をわざとあいまいにし、ガチンコの議論が遠ざけられたからだ。「政党の公約がスローガンの羅列に戻り、評価に値しなくなった。選挙と市民をつなごうと思ったが、そういうサイクルは実現しなかった」

 その結果、国民の多くが代表制民主主義の仕組みそのものに期待を失っていると懸念する。「民主主義こそ我々の未来だ」と語る工藤さんにとって、「民主主義の修復」が目下の主要テーマだ。

 民間外交では、「東京会議」をはじめ国際的なシンクタンクが集まる会議の主催や参加を通して、民間の立場から民主主義の強化や外交課題の解決策を発信してきた。

 日中や日韓をはじめ政府間外交が足踏みする局面でも、民間レベルでの対話を続け信頼醸成に努めた。民間外交20年を振り返り、新たに気づいたことがあるという。

 「民間外交は信頼醸成を通じて政府間外交の環境づくりをするだけでなく、民間で外交の課題を洗い出し、解決策を示すところまで求められると思うのです」

 気候変動、感染症、貧富の格差の拡大と、危機が同時進行する中で、民間の知恵はいっそう重要になる。言論NPOと工藤さんの役割は大きい。


ゲスト / Guest

  • 工藤泰志 / Yasushi Kudo

    言論NPO代表 / The Genron NPO

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