2022年01月25日 14:30 〜 16:00 10階ホール
「選択的夫婦別姓 1996年答申の意義」小池信行・元法務省民事局参事官、弁護士

会見メモ

1996年に法制審議会(法相の諮問機関)が選択的夫婦別姓を導入すべきであると答申してから、四半世紀が過ぎた。

当時の与党・自民党が法案提出を了承しなかったため、法案は提出されず、現在まで来た。

法務省民事局の参事官として法制審の幹事を務めた弁護士の小池信行さんが、当時の状況や法案の提出が見送られたいきさつなどについて話した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信)


会見リポート

「機は段々と熟している」

北村 和巳 (毎日新聞社論説委員)

 法相の諮問機関である法制審議会が法案要綱を答申すれば、通常は法律になる。例外が選択的夫婦別姓制度の導入だ。1996年の答申が四半世紀、たなざらしにされている。

 この答申がまとめられた際、裏方として尽力したのが、法務官僚だった小池信行弁護士だ。記者会見では「一回、国会に法案を提出して議論し、最終的には世論で決めるのがフェアではないか」と提案した。

 法制審の議論のきっかけは、国連の動きだった。「国際婦人年」の75年以降、世界規模で女性の地位向上に取り組むことになり、政府も推進本部を設けた。その中で「夫婦の氏の在り方」が検討テーマになった。

 名だたる民法学者がそろった法制審の小委員会は、選択的夫婦別姓の導入に前向きだった。ところが、小池氏が自民党議員への説明に回ると8~9割が反対した。「家族の一体感、絆が弱くなる」との理由が最も多く、「なぜ別姓が必要か分からない」との声もあった。公の場で賛成したのは野中広務氏ら数人くらい。説得は難しいと悟ったという。

 この問題で最も難しい点が、子どもの姓だという。小委員会では「複数いたら別々でもいいのでは」との声が強かったが、答申は自民党に配慮して「結婚の際に夫婦のどちらかの姓に決める」となった。

 最高裁は2015、21年の2度、夫婦別姓を認めない判断を示している。「(姓が)家族の氏として機能しているというのが唯一の理由」と裁判官経験者らしく分析した。「家族の形についての価値観が多様化している時に、いつまで、この論理を維持できるか」と指摘した。

 選択的夫婦別姓は、いつになったら実現するのか。小池氏は「同姓がいいと考える人が、別姓希望者にどのくらい寛容になれるのかが大事」と訴え、「機は段々と熟している。あと25年の間には実現できるかな」と語った。まだ時間がかかるのか。


ゲスト / Guest

  • 小池信行 / Nobuyuki Koike

    元法務省民事局参事官、弁護士

研究テーマ:選択的夫婦別姓 1996年答申の意義

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