2022年01月11日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「バイデンのアメリカ」(13) 足立正彦・住友商事グローバルリサーチシニアアナリスト

会見メモ

住友商事グローバルリサーチ(SCGR)の足立正彦シニアアナリストがバイデン政権発足からの1年を分析、中間選挙など今後の展望、課題について話した。

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

 


会見リポート

トランピズムの強さ不変

大石 格 (日本経済新聞社編集委員)

 バイデン米大統領の昨年12月時点の支持率は43%(ギャラップ調査)。歴代大統領で、同時期に50%を下回っていたのは、レーガンとトランプだけだ。

 なぜ低迷しているのか。アフガニスタンからのぶざまな撤退、新型コロナウイルスの再流行が影響したのに加え、トランプが引き起こしたネガティブな要因、例えば同盟国との摩擦を修復するのに手いっぱいで、新しいことができていないから、というのが足立氏の見立てである。

 新規政策でいえば、大統領選の公約の目玉だったビルド・バック・ベター法案は中身や名称を変えたりしているものの、いまだに成立の見通しが立っていない。

 民主党と共和党の党派対立の激しさはよく指摘されるが、背景にあるのは共和党の変質だそうだ。

 2012年の大統領選の共和党候補だったロムニーは、中国を為替操作国に認定すると公約した。これはトランプが台頭する前のことだ。自由貿易の党と思われていた共和党の支持層が保護貿易にすでに傾き始めており、それがトランピズムの温床となったというわけだ。

 2024年の大統領選にトランプが再出馬する可能性は大きくないとしつつ、共和党内におけるトランプ的なものの強さは変わっていないという。非科学的なものの見方が広がる理由としては、4年制大学への進学率が3割程度にとどまるなど、米教育が劣化していることをあげた。

 一方、オカシオ・コルテスら民主党の左派勢力の動きについても「利己的」と一刀両断する。ペロシが下院議長を今期限りで辞めると表明していることも含め、民主党はひとつにまとまっていかないようだ。

 「新しい光を見いだせない。このなかで米中をマネージするのは難しい」。足立氏は話をこう締めくくった。日本はどこに光を見いだせばよいのだろうか。


ゲスト / Guest

  • 足立正彦 / Masahiko Adachi

    住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト / Senior Analyst, Sumitomo Corporation Global Research

研究テーマ:バイデンのアメリカ

研究会回数:13

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