2021年12月13日 10:30 〜 12:00 10階ホール
フィリップ・セトン駐日フランス大使、ジャン=マチュー・レイ海軍少将 会見

会見メモ

インド太平洋地域の戦略的重要性が増している。

同地域におけるフランスの優先課題、欧州連合(EU)理事会で次期議長国を務めるフランスの下でのEUの戦略、日本とのパートナーシップの強化について、フィリップ・セトン駐日フランス大使(写真左)、ジャン=マチュー・レイ海軍少将(太平洋海洋管区司令官=写真左から2枚目)が話した。

レイ少将はタヒチからオンラインで会見した。

 

司会 大内佐紀 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

通訳 三宅薫子、尾崎直子(いずれも駐日フランス大使館)


会見リポート

日印との安保連携を強化へ

軍司 泰史 (共同通信社編集委員)

 フランスの識者と国際政治について話をしていると、しばしば「アングロサクソン」というくくり方を耳にする。「米英」や、時には「英語圏の国」を指す。友好的な文脈では、あまり使われない。そのことを、フィリップ・セトン駐日フランス大使とフランス海軍のジャン=マチュー・レイ少将の記者会見で思い出した。

 今年9月、フランスはオーストラリアと結んでいた潜水艦共同開発計画を一方的に破棄された。米英両国がオーストラリアの原子力潜水艦導入を支援し、さらに米英豪3カ国は安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設。マクロン大統領は駐米、駐豪両大使を一時召還し、3カ国との関係は冷え込んだ。

 セトン大使は会見で、オーカス創設について「フランスや欧州連合(EU)の、インド太平洋地域における利害関係をすべて無視している」と批判した。米国とは首脳会談で対話の継続に合意したが、「対オーストラリアについては、関係改善で具体的なことは何も決まっていない」とも述べた。

 その上で「フランスはインド太平洋地域で(他に)多くのパートナー国に恵まれている。日本やインド、東南アジア諸国との関係を深める」と付け加えた。日本とは、軍の共同訓練で相手国への一時滞在の法的地位を定めた円滑化協定(RAA)締結に言及。インド太平洋戦略の要の一つと見込んでいたオーストラリアとは一線を画し、日印などとの連携強化に活路を見いだす意図を明確にした。

 セトン大使は「確かにオーカスはアングロサクソン系と言われる。だが、(第1次大戦中の)1917年には、われわれも米英豪の側で戦っていたことを忘れるべきではない。同盟が排他的でないことを望む」とくぎを刺した。

 フランスはインド太平洋地域に海外県・領土があり、国民160万人が住んでいる。ニューカレドニアなどに駐留する兵力は約7000人で、欧州ではこの地域に軍を常駐させる唯一の国となっている。


ゲスト / Guest

  • フィリップ・セトン / Philippe SETTON

    駐日フランス大使 / French Ambassador to Japan

  • ジャン=マチュー・レイ / Jean-Mathieu Rey

    フランス海軍少将 太平洋海洋管区司令官 / Rear Admiral,Commander, French Armed Forces in French Polynesia, Commanding General Joint Forces, Pacific

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