2021年12月16日 14:00 〜 15:00 10階ホール
サーブル・エシムベコフ駐日カザフスタン大使 会見

会見メモ

会見当日はカザフスタンの独立30年。サーブル・エシムベコフ駐日大使は共和国独立とソ連崩壊からの歩みや現在の中央アジア情勢、日本との二国間関係などについて話した。

 大使はモスクワ国際関係大学で日本語を専攻、その後東洋学研究所で日本を研究した。1993年にはカザフスタンからの留学第一号として横浜国立大学に留学。2011年から日本カザフスタン経済委員会のカザフ側委員長を務めた。カザフスタンきっての知日派である。

 

司会 出川展恒・日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

対中ロ、核禁外交に独自の道

石川 一洋 (NHK解説委員)

 サーブル・エシムベコフ大使は、新たな独立国カザフスタンと日本の関係を築いた草分けで、知日派の代表である。留学生だった1994年、ナザルバエフ大統領の命で在日カザフスタン大使館の開設に奔走した。連邦崩壊時は27歳、ソビエト末期に高等教育を受けたこの世代が、連邦崩壊後の国造りの中核を担うことになった。

 会見当日はカザフ独立30年。「独立の最初の数年間は非常に苦しい時でした。経済が完全に停滞する中、課題は、市場経済を構築し、全体主義体制を解体して、社会のすべての制度を近代化することでした」

 資源豊かなカザフスタンは、ユーラシア大陸の中心に位置し、北にロシア、東は中国に挟まれている。大使はモスクワで学び、ロシアの外交・ビジネスに広い人脈を持つ。中国とはパイプライン敷設交渉の責任者を務め、中国の出方も肌感覚で知っている。「中ロとの関係は良くて、上手い外交政策が行われている。世界はカザフスタンの経験に学ぶことができるのではないか」。中ロとの関係が死活的な意味を持つだけに、米ロ、米中の対立が深まる中で、発言は慎重だ。

 ただカザフスタンは平和国家として独自の外交を進めている。その一つは核実験に苦しんだ体験から、核兵器禁止への積極的な参加だ。「我々の目標は核兵器のない世界を実現することです。来年、カザフスタンで核軍縮国際サミットを開催する予定です。私たちは日本人とともに核の被害とその悪影響について身をもって知っている人間です」。カザフスタンは中央アジア非核地帯条約と核兵器禁止条約の批准国であり、2022年は核軍縮国際サミットを開催する。日本が参加するのか注目されるだろう。

 大使は親しみやすい笑顔から「サブロー」、あるいは「サブちゃん」と呼ばれ、日本にも友人が多い。日本とカザフスタンが戦略的パートナーシップを確立できるか、「サブロー」大使への期待は大きい。


ゲスト / Guest

  • サーブル・エシムベコフ / Sabr S. YESSIMBEKOV

    カザフスタン / Republic of Kazakhstan

    駐日カザフスタン大使 / Ambassador to Japan, Republic of Kazakhstan

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