2021年12月20日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「韓国大統領選を読む」(2) 金明中・ニッセイ基礎研究所主任研究員

会見メモ

日韓の社会保障制度や労働政策などを研究する金明中・ニッセイ基礎研究所主任研究員が、韓国大統領選の有力候補である李在明、尹錫悦両候補の少子化対策、若者政策、住宅政策などを比較、分析した。

 

司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

 


会見リポート

「疑惑の行方が選挙結果を左右」

安尾 芳典 (共同通信社客員論説委員)

 熾烈でダイナミックな展開が繰り広げられる韓国の大統領選だが。来年3月に迫った今回はやや、様相が異なるようだ。

 実質的に与野党の2候補による一騎打ちとなり、保守系と革新(進歩)系の対決構図ということではこれまでほぼ同じだが、どうも今一つ盛り上がりに欠けるのだ。

 与党「共に民主党」候補の李在明前京畿道知事、野党「国民の力」候補の尹錫悦前検事総長の両候補とも、国政経験がなく小粒だ。

 選挙戦での論戦も低調で、両候補の「不正疑惑」に国民の関心が向けられていることが要因のようだ。

 選挙戦を左右するのは、どちらの候補に多くの疑惑が明るみに出るかだと指摘する。つまり、より疑惑の少ない候補が勝利する可能性が高いということになる。

 大統領選のポイントとしては、コロナ対策、経済成長、雇用創出、格差解消とともに、韓国社会に広がるさまざまな「対立」を挙げた。

 中でも深刻なのは、貧富の格差や住宅の高騰だ。貧富の格差は、アカデミー賞を受賞した映画「パラサイト」でも描かれていた。

 これに対し李候補は、ベーシックインカムの導入を打ち出し、注目を浴びた。また住宅問題では、両候補とも250万戸の建設を掲げている。

 興味深いのは、「韓国国籍をあきらめる若者が増加している」との指摘だ。大学進学や就職などで厳しい競争を強いられているためだ。慢性的にうっ憤を感じる人の割合は約4割に上り、若者ほど多いという。

 「両候補は韓国社会に拡大しているさまざまな対立を解決する対策を講じる必要がある」と強調する。

 最悪の状態にあるとされる日韓関係では、両候補とも「歴史問題、領土問題では堂々と対応するが、未来志向的な関係を構築する」としている。ただ両候補の対応には違いもみられ、さらに踏み込んだ分析がほしかった。


ゲスト / Guest

  • 金明中 / MYOUNG-JUNG KIM

    ニッセイ基礎研究所主任研究員 / enior researcher, NLI Research Institute

研究テーマ:韓国大統領選を読む

研究会回数:2

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