会見リポート
2021年12月21日
13:00 〜 14:00
10階ホール
ギラッド・コーヘン駐日イスラエル大使 会見
会見メモ
ギラッド・コーヘン駐日イスラエル大使が、二国間関係の現状と展望、中東情勢について話した。質疑応答では新型コロナ対応を含めた幅広い質問に答えた。
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)
会見リポート
防衛協力・投資の促進を訴え
坂本 一之 (産経新聞社外信部専門職)
新任大使として日イスラエル関係の強化を目指す意欲は鮮明だった。
20枚ものスライドを使って両国間の外交史や協定、経済関係などを丁寧に説明し、投資・貿易の促進、防衛協力の拡大などを訴えた。
最後のスライドは「イスラエルのイメージ」と題し、近代的な高層ビルやビーチなどの写真を並べていた。「ニュースだけ見ていると、イスラエルといえば『紛争』『戦争』になってしまう。しかし、真の姿は全く違う。アンフェアだ」
会見場にいる記者たちを見ながらこう指摘するギラッド・コーヘン駐日大使の語気は強かった。
「ハイテク立国で安全な国、美しいビーチもあるが理解されていないと思う。紛争が起これば報道は当然だが、ぜひ伝える内容についてはもっとバランスをとってほしい」
パレスチナとの紛争をめぐる報道が絶えないイスラエル。そのイメージを変えたいと記者へ訴えることに躊躇は感じられなかった。イメージが改善されれば、観光客に加えて経済成長に欠かせない投資を呼び込みやすくなる。確かにそのメリットは大きい。
ただ、その「アンフェア」「バランス」と語る言葉には、和平の道筋を見いだせないパレスチナ問題やイランとの関係が見え隠れする。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの武力衝突は地域の主要ニュースとなるが、和平に向けた経済支援などイスラエルの取り組みは「注目されない」との声が同政府関係者からは漏れる。また、イスラエルを敵視し核開発を進めるイランとの軍事衝突が懸念される中、大使は会見でバーレーンとの国交正常化などで中東情勢に変化が起きているとアピールする。
日本メディアとの対話や政府間協議でイスラエル側の主張や情報をどこまで伝えることができるか︱。大使の手腕が問われることになる。
ゲスト / Guest
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ギラッド・コーヘン / Gilad COHEN
駐日イスラエル大使 / Ambassador to Japan