2022年02月21日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「韓国大統領選を読む」(3) 奥薗秀樹・静岡県立大学教授

会見メモ

第20代韓国大統領選挙は3月9日の投開票まで1カ月を切り、選挙戦が本格化している。

静岡県立大学の奥薗秀樹教授が韓国政治における理念、世代、ジェンダーの点から選挙情勢を分析、展望した。

 

司会 澤田克己 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

MZ世代の動向に注目

真勢 春海 (時事通信社外信部)

 韓国大統領選は革新系与党「共に民主党」の李在明候補と保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦候補の接戦が続いた。奥薗秀樹教授は、無党派層が多くを占める20〜30代が情勢に影響を与える可能性を示し、「MZ(エム・ゼット=ミレニアル・ゼット)世代」と呼ばれるこの世代の特徴を解説した。  

 韓国では保守と革新の理念対立が続いてきた。教授は「転換の激しい現代史を歩んできたので、人々の生きてきた時代により考え方に大きな差がある」と述べ、世代による政治意識の差を指摘した。教授によると、朝鮮戦争や高度成長などを生きた1940〜50年代生まれの世代は保守勢力が強い。一方で60〜70年代に生まれ軍事独裁政権打倒や民主化運動を経験した世代は革新勢力が強く、「80年代大学入学、60年代生まれ」を指す「86世代」とも呼ばれ、革新系文在寅政権を支えた。  

 対して、80〜90年代生まれのMZ世代は、民主化や情報化を経た社会を生き、個人主義の傾向が強い。「理念を問わず自らの生活に関わるイシューで政治的影響力を持つスイングボーター」で、「IMF危機やリーマンショックを経て、低成長時代を超競争社会の中で生きることを余儀なくされ、公正や機会均等、格差是正などには敏感。既得権の横暴が明らかになれば保守や革新に関わらず反旗を翻す」特徴があるという。  

 世論調査ではおおまかに保守が25%、革新が25%、無党派層が50%と分かれ、無党派層の多くをMZ世代が占めている。昨年4月のソウル市長選ではこの世代が保守系勝利の流れを後押しし、国民の力の党代表に李俊錫氏(36)が選ばれた際には入党ブームが起きた。  

 教授の分析によると、過去4回の大統領選で高齢層は常に高い投票率にあるものの若年層は投票率が上下しており、この世代の投票率も今回の注目点になる。

 


ゲスト / Guest

  • 奥薗秀樹 / Hideki Okuzono

    静岡県立大学教授 / Professor, University of Shizuoka

研究テーマ:韓国大統領選を読む

研究会回数:3

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