2021年11月26日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「韓国大統領選を読む」(1) 小針進・静岡県立大学教授

会見メモ

2022年3月に韓国の大統領選挙が行われる。文在寅政権のもとで日韓関係は「戦後最悪」とも言われるほどに冷え込んだが、次の政権ではどうなるのか。選挙戦の行方、新政権の展望を考えるシリーズ企画の第1回として、静岡県立大学の小針進教授が登壇。文在寅政権の5年を振り返るとともに、6つの視点から選挙戦を展望した。

 

司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

 


会見リポート

鍵握る第三の勢力とMZ世代

神屋 由紀子 (西日本新聞社論説委員)

 新シリーズ「韓国大統領選を読む」が始まった。初回に登壇した小針氏は韓国大統領選の基礎知識を概説した上で、来年3月の大統領選で注目すべき6つの観点を挙げ、日韓関係への影響を含め韓国政治を展望した。

 選挙は進歩(革新)系与党「共に民主党」の李在明前京畿道知事と保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦前検察総長による事実上の一騎打ちの構図となっている。

 小針氏は有権者の投票行動に影響を与える要素で、二人の共通点として①非好感②捜査対象者③国会議員経験なし―の3点を挙げた。

 世論調査に候補者の好感度を尋ねる設問があり、いずれも好感を持てない人が好感を持つ人の倍程度いる「珍しい選挙」。それだけ棄権が多くなる可能性もある。両者の支持率は拮抗しているため「第三の勢力がどれだけ得票するかによって結果が左右される選挙」と指摘した。

 また選挙戦をみるポイントには④政権交代10年周期説⑤第三候補の存在⑥MZ世代―の3点を挙げた。

 韓国大統領の任期は独裁を防ぐため5年1期。1987年の民主化以降、保守政権と進歩政権が10年ごとに交代しており、周期通りだと李氏だが、今年に入り保守政権への交代を望む声が大きくなっている。

 選挙の鍵を握るのはミレニアル世代とZ世代を合わせてMZ世代と呼ばれる20、30代。この世代の特徴を「保守か進歩かといった理念より自分たちに有利な政策を重視し、非常に流動性がある」と解説した。

 日韓関係は国交正常化以降最悪と言われる。対日政策は争点にならないものの、日本との関係をレッテル貼りして攻撃する「親日フレーム」が政界でもみられるという。次期政権での関係改善に淡い期待を抱く向きもあるが、両国間のパイプが先細りし、韓国で日本の重要性が減退する構造が変わらない以上、大きな変化は難しいとの見方を示した。


ゲスト / Guest

  • 小針進 / KOHARI Susumu

    静岡県立大学教授 / professor, University of Shizuoka

研究テーマ:韓国大統領選を読む

研究会回数:1

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