2021年11月11日 11:00 〜 12:30 10階ホール
「新型コロナウイルス」(76) 和田耕治・国際医療福祉大学大学院教授

会見メモ

和田耕治・国際医療福祉大学大学院教授がワクチン接種後の生活、感染対策のあり方、第6波の可能性などについて話した。

和田さんは公衆衛生学、健康危機管理を専門とする。厚生労働省のアドバイザリーボードのメンバーでもある。

 

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

ワクチン接種と検査の併用が有効

中村 直人 (読売新聞社科学部)

 日本は、冬にも懸念される新型コロナウイルス感染の「第6波」をどう乗り越えるべきか。公衆衛生学が専門で、厚生労働省の助言機関メンバーを務める国際医療福祉大学の和田耕治教授が登壇し、今後の新型コロナ対策の方向性について提言した。

 国内では急速にワクチン接種が進むが、接種を望まない人は若者層を中心に一定数存在する。和田教授は、こうした人たちは副反応の不安が大きい一方、感染の恐れや接種のメリットを十分に認識していない傾向にあると分析。接種率の向上を図るには、接種体制の維持とともに、有効性や安全性に関する丁寧で効果的な情報発信が必要との認識を示した。

 第6波については、海外での流行状況を踏まえ、「18歳未満の感染、高齢者の重症化は増す可能性がある」と指摘した。次の感染拡大の波がどういった特徴を持つのかを予測し、それに応じた医療提供体制を整備する必要があると強調した。

 コロナ禍では社会・経済活動が厳しく制限された。ただ、リスクを正しく評価して適切な対策と組み合わせれば、個人の感染リスクが下げられるケースもある。そこで政府が導入を検討するのが、ワクチンの接種証明書や検査の陰性証明書を活用した行動制限の緩和策「ワクチン検査パッケージ」だ。

 和田教授は「高齢者施設や医療機関での面会」「結婚式などの特別な活動」など、もともと感染リスクが低い場面での活用が見込まれるとする一方、感染力の強いインド由来の変異ウイルス「デルタ株」の流行を念頭に、接種済みの人が検査を併用する方式が有効と主張した。

 今後については、リスクの高い行動を戒めるのではなく、許容される行動を例示する「『足し算』の対策」を提案するよう求めた。流行の長期化に備えるには、いかに市民の心情に寄り添い、協力を得られるかが鍵になると感じた。


ゲスト / Guest

  • 和田耕治

    国際医療福祉大学大学院教授

研究テーマ:新型コロナウイルス

研究会回数:76

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