会見リポート
2021年10月07日
16:30 〜 17:30
10階ホール
平井伸治・全国知事会会長 会見
会見メモ
9月に全国知事会会長に就任した平井伸治・鳥取県知事が登壇。今後の知事会としての活動方針、鳥取県の取り組み、第6波に向けた課題などについて話した。
司会 井上裕之 日本記者クラブ企画委員(西日本新聞)
会見リポート
対コロナ「ともに闘う知事会」に
谷 隆徳 (日本経済新聞社編集委員)
9月3日、全国で最も人口が少ない鳥取県の知事として初めて全国知事会の会長に就任した。歴代最多の40道府県の知事の推薦を受けた。物腰が柔らかく、時にユーモアを交える語り口が平井伸治会長の持ち味だ。飯泉嘉門前会長のもとで新型コロナウイルスの対策本部の本部長代行を務めていたから、今回の就任は順当といえるのだろう。
就任と同時に掲げたスローガンは「ともに闘う知事会」である。今回の会見でも「政府はもちろん、さまざまな団体とパートナーシップを結び、共通の敵であるウイルスと闘いたい」と強調した。早速、日本医師会の中川俊男会長らとオンラインで意見交換会を開いた。
知事会はかつて、単なる親睦団体に過ぎなかったが、それを変えたのが2003年に会長になった当時の梶原拓岐阜県知事だった。「闘う知事会」を標榜して政府に地方分権改革の断行を迫った。それを支えたのが増田寛也氏や片山善博氏ら「改革派知事」と呼ばれた面々だった。平井会長が掲げたスローガンはこれを強く意識したものなのだろう。
会見では鳥取でのコロナ対策を紹介しながら、政府に対して「現場の声を聞いてほしい」と繰り返した。その一方で「国と地方を対立の構図で見るべきではない」とも主張した。14世紀に世界で感染が広がったペストの後にルネサンスが起きたことにふれながら、コロナでも地方移住のパラダイムシフトが生じていると指摘し、国に協力を求めた。
地方を縛るさまざまな基準の見直しや「国と地方の協議の場」に分科会を設置することも提案した。いずれも知事会が長年求めてきた課題だ。
首相の所信表明演説から「地方分権」という言葉が消えて久しく、岸田文雄首相の10月8日の演説でもまったく言及されなかった。コロナで知事の役割が改めて注目されるなかでの登板である。分権改革を再起動できるかどうかも平井会長の手腕にかかっている。
ゲスト / Guest
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平井伸治 / Shinji Hirai
全国知事会会長 / President, National Governors’Association (governor of Tottori Prefecture)