会見リポート
2021年10月01日
13:00 〜 14:00
10階ホール
山下泰裕・日本オリンピック委員会会長 会見
会見メモ
日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長が、コロナ下で開催された東京大会を振り返るとともに、今大会の意義、今後の課題などについて話した。
司会 福田裕昭 日本記者クラブ企画委員(テレビ東京)
会見リポート
開催否定派3割 重く受け止め
益田 一弘 (日刊スポーツ新聞社スポーツ部)
日本オリンピック委員会(JOC)山下泰裕会長が、東京五輪を総括した。過去最多58個のメダルを獲得した成果について「選手、指導者、コーチの多大なる努力の成果が表れた。若い選手、チームゲーム(団体競技)での金メダルが躍進の大きな理由になった」と説明した。
コロナ禍での開催に「感染症対策との戦いでもあった」。海外勢は競技5日前に選手村入り、競技終了後48時間以内の出国がルール。選手村、練習会場、試合の行き来となり直前調整は困難だった。日本は自国の利を生かしてハイパフォーマンスセンター、専用食堂を利用して成果につながった。山下会長は会場で海外関係者に「申し訳なく思う」とわびた。その際の返答は「何をいっているんだ、大会をよく開催してくれた」と好意的だった。無観客開催については「それ以外の選択肢はなかった。海外の方々も納得している」。その一方で元アスリートとして「何か寂しい、むなしい気持ちがあったのも事実です」と率直に口にした。
SNS時代ならではの、負の部分にも言及した。コロナ禍で選手には出場辞退を求める声などが寄せられた。自身は1980年モスクワ五輪ボイコットを経験。多くの励ましの中で「あなたは自分のことだけ考えて、五輪に参加させてほしいという。アフガニスタンでどれだけの人が亡くなっているのか」という手紙もあった。「かつてそういう経験をして、JOC会長という立場でありながら、選手に寄り添えたか。はなはだ力不足だった」と謝罪した。
開催についてさまざまな意見があった五輪。「閉幕後の世論調査は、国民の6割は好意的だった。一方で3割は開催すべきではなかったという意見。この3割を重く受け止めるべき」。JOCとして今後、スポーツの価値向上、オリンピズムの推進、憧れられるアスリートの育成など、取り組むべき課題を挙げた。
ゲスト / Guest
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山下泰裕
日本オリンピック委員会(JOC)会長