2021年11月15日 12:30 〜 13:30 10階ホール
「これからの宇宙ビジネス」(2) 稲川貴大・インターステラテクノロジズ社長

会見メモ

民間で小型ロケットの開発に取り組むインターステラテクノロジズの稲川貴大社長が、日本の商用ロケット開発のビジネスモデル、技術力などの現状について話した。

司会 斉川誠太郎 日本記者クラブ企画委員(北海道新聞)


会見リポート

ロケット 衛星 垂直統合めざす

大谷 卓 (産経新聞社科学部長)

 「宇宙産業からGAFAが出てくる」。東工大在学中からロケット開発に携わってきた稲川氏はこう指摘する。グーグル、アマゾン、フェイスブック(社名メタに変更)、アップルの頭文字を並べたGAFAは市場を独占する巨大ITプラットフォーマー。宇宙ビジネスから、次のGAFAが生まれる理由として、ロケット、人工衛星、地上系すべての事業を垂直統合する巨大企業の登場の可能性を挙げる。

 宇宙ビジネス市場の規模拡大は著しい。2020年の40兆円から40年には100兆円まで成長すると見込まれている。背景には、インターネット接続などの通信や観測データを活用するリモートセンシングなどへの利用増加がある。特に500㌔グラム以下の小型人工衛星の需要は急激に伸び、打ち上げ実績は19年に389基だったのが、20年には1190基に増えた。大型の衛星数基での対応から、多数の小型衛星を連動させるコンステレーションと呼ばれるシステムへの移行が進んでいるためだ。

 ロケット、人工衛星の開発・実用化に加え、地上の施設などを含め、宇宙ビジネスはダイナミックに成長しており、宇宙のGAFA登場を想起させる。

 北海道大樹町に本社を置くロケットベンチャー「インターステラテクノロジズ」は、民間単独で開発したロケットで国内で初めて宇宙に到達。コストを重要視し「便利に安く」という技術戦略を進める。ロケット開発に加え、人工衛星開発にも参入。大樹町の射場、製造工場などの施設を含め「宇宙港」化する北海道スペースポート計画に携わり、今後、これらの垂直統合を目指すという。

 「日本にもタネは眠っている」。今後の宇宙ビジネスの広がりに期待を示しつつ、スペースシャトル計画以降の米国の民間支援を念頭に、日本政府のサポートが必要だと訴えた。


ゲスト / Guest

  • 稲川貴大 / Takahiro Inagawa

    インターステラテクノロジズ株式会社代表取締役社長 / CEO, Interstellar Technologies Inc.

研究テーマ:これからの宇宙ビジネス

研究会回数:2

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