2021年08月31日 13:00 〜 14:30 オンライン開催
「これからの宇宙ビジネス」(1) 大貫美鈴・宇宙ビジネスコンサルタント

会見メモ

民間宇宙開発の推進に取り組む大貫美鈴さんが、宇宙ビジネスの現状、展望について話した。

 

司会 斉川誠太郎 日本記者クラブ企画委員(北海道新聞)

 

 『宇宙ビジネスの衝撃―21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』


会見リポート

宇宙産業にも規模の経済/衛星サービスが市場けん引

小玉 祥司 (日本経済新聞社編集委員)

 7月にリチャード・ブランソン氏とジェフ・ベゾス氏の2人の富豪が自らの企業が開発したロケットで宇宙飛行を実現したことが話題となるなど、宇宙ビジネスへの関心が高まっている。大手建設会社や宇宙航空研究開発機構(JAXA)で宇宙開発に関わってきた大貫氏は、政府主導の宇宙開発と民間ビジネスの違いは「市場と資金」だと指摘。「宇宙産業に規模の経済が入ってきた」と説明する。

 関心の高い有人宇宙飛行では、2人の富豪の成功が民間の宇宙旅行が開かれる画期的な出来事だったと評価。また2020年5月にスペースXの宇宙船により米国からの有人宇宙船打ち上げが復活したことも注目されるとした。

 一方で小型衛星による宇宙ビジネスが急拡大していると説明。20年には小型衛星の打ち上げが年間1000機を超え、さらに増え続けていることを強調した。

 「スペース4.0」と呼ばれる新興企業の登場で、ロケットの価格破壊や人工知能(AI)利用などの技術革新、複数の小型衛星を連動させるコンステレーションと呼ばれるシステムの活用などが進行。「他の産業で当たり前だったことが宇宙でも行われるようになり、サービスとしての産業が生み出されている」とした。

 コンステレーションは主にインターネット接続などの通信と観測データを利用するリモートセンシングの2分野で活用されている。宇宙ビジネス市場に占めるロケットなど機器のシェアは3%にすぎず、衛星を利用するこうしたビジネスが市場の成長をけん引。20年は49兆円とされる市場規模は、30年代には100兆円を超えるとの見通しを示した。

 日本にはイーロン・マスク氏やベゾス氏のように宇宙ビジネスに力を注ぐ富豪はいないが、分野をけん引するベンチャーが存在すると指摘。異業種からの参入も盛んなことと併せて、今後の成長を期待した。


ゲスト / Guest

  • 大貫美鈴 / Misuzu ONUKI

研究テーマ:これからの宇宙ビジネス

研究会回数:1

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